STORY 52 ページ8
レイside
「…昏睡状態…だな。まぁ、気絶してるとも言えるが、多分……過去の事でも思い出してんじゃねぇか?」
赤の軍のAの部屋で俺の隣に腰掛けて、Aの夢などの事を書き留めてあるノートをペラペラめくるのは、赤のセブンだ。
「……ひでぇ夢。ほとんど、アイツに着いて行った時の事だ。
ほら、こことか。」
そう言って、ノートのそのページを広げて俺に見せてきた。Aの字を読むと、それは紛れもなく『あの時』の事だった。
「…リヒトだよな。Aの兄ちゃんの名前。
確か、Aと違って病弱だとか…。」
「あぁ。そうだ。まぁ、優しかったし、俺より遥かに強いし、人脈もあったし…。
まぁ、最大の欠点は、Aと一緒で溜め込みすぎる所…だな。」
そう言って、Aを見た赤のセブンにつられて、俺も同じようにしてAを見た。今は、さっきとは違い随分幸せそうな顔になった。
「…思い出してんのかな…。いつの頃?」
そう言って、Aの手を握ると、Aが辛そうな顔をした。
「…ゃ…。ぇ。」
そう言うと、今度は呼吸が荒くなってきた。赤のセブンを見ると、何かを用意していた。俺は何も出来ないから、Aの手をただ、ぎゅっと握りしめた。
「…A。大丈夫か?俺がいるから…。」
そう小声で呟いて、Aと繋いだ手を額の方まで寄せると、荒い呼吸が聞こえなくなった。
驚いてAの方を見ると、薄ら開いた目で俺の事を見ていた。
「…レイ…?なんか、泣きそうだよ…?」
そう言って力なく笑ったAは、消えてしまいそうで、抱きしめたい衝動に駆られたが赤のセブンがいる手前、そんな事は出来ない。
「…そんな事ねぇよ。」
そう言ってAの手を離すとまた力無く笑い、変なの。と小さく呟いた。その絞り出すような声に泣きそうになったが何とか耐えた。
「…A体調は?」
「…いつも通りだよ。」
「……はいよ。了解。」
そう言って、医者用のメモに書いた字は、良いとは書いてなさそうだった。
「……ねぇ、レイ。」
「ん?なに?」
「…ランスは…?」
そう言ったAの瞳は、さっきとは違って何処か真剣な眼差しをしていた。
すると隣にいた赤のセブンが、メモを止めて立ち上がった。
「自分の部屋にいるぞ?…呼んできた方が良いのか?」
「…うん。お願い。…レイも、ここにいて。」
そう言って、俺を見つめる瞳は何処か不安そうだった。
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Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時