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STORY 60 ページ28

レイside

アリスが来てから結構な日数が経っていた。次の満月の夜は、3週間もしないうちに来る。

「…はぁ。」

部屋のカレンダーを見つめる度に溜息が零れる。

「どうしたんだ〜、レイ。溜息なんてつきやがって。」

「…んー、まぁ、ね。」

「最近色々と忙しいものね。疲れが溜まってるんじゃないの?
それか、

今日アリスちゃんと何かあった?」

セスに墓穴を掘られて、何も言えなくなった。と言うより、何と言っていいか分からなかった。

「…帰らないって。」

「…えっ?」

俺は上体だけを伸ばした後、セスが用意してくれた紅茶のカップを持ち上げた。

「次の満月が来ても帰りたくないんだとさ。」

「それは、レイの事が好きだから…?」

「…多分?」

「おいおい、多分って…。」

ガタッと立ち上がりそうになったフェンリルをセスが宥めていた。

「アリスちゃんは、帰らないでどうするつもりなの?」

「…それが、俺にもよく分からない。

何でなのか聞いたら、『内緒。』って言われて話変えられたし。」

「…そう。」

不思議さと不安さを混ぜた顔をしたセスを見た。もしかしたら、俺もこんな顔をしていたりしたのだろうか。

「…でもまぁ、満月までまだ日数あるし、そのうち帰るってなるかも知れねー。…って事だよな?」

フェンリルのその言葉に、俺は黙って頷いた。俺と目が合ったフェンリルは納得した様子を見せたが、長く細い溜息をついていた。

本当なら、今度の満月の月の日までに帰って欲しい。

Aの事もあるし、軍じゃなく国の事だって。色々と忙しいし、何より危険だ。
でも、アリスにとってこの国での唯一の友達がAだ。
そんな奴が数日間ずっと寝てたと思えば、急に起きて、また寝たと思ったら直ぐに目を覚ましたりする日を不定期に繰り返す。しかも、赤い瞳をして。

_そんなだったら、心配だろうし不安だろ。

そうやってアリスの心情を悟ると「早く帰れ。」何て言いにくくなる。と言うより、言えない。

俺だって、Aの事が不安だから。

守りたいものが多いんだ。
でも、その分俺は強いのかと聞かれたら、すぐに首を縦に振れない。

自信がないと言ったら多分そうなる。
でも、俺は黒のキング。皆をまとめて、指揮していかなきゃいけない立場で…。

「…レイ。散歩でも行くか?」

顔を上げるとフェンリルが心配そうにこちらを見ていた。

「…ごめん、一人で行かせてくれ。」

そう言って俺は夕暮れ前の街に足を踏み入れた。

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Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時

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