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STORY 58 ページ23

Aside

ゆっくり目を開けると1番最初に天井が見えた。見たことがあるような、少し懐かしい天井だった。

「……A?」

ボーッと天井を見ていると、私を呼ぶ声が聞こえた。そっちの方を頭だけ動かしてみると、見慣れた人の顔があった。

「……レイ…?」

自分で発した声はあまりにか細かったけど、私の声をレイはしっかり聞きとって力強く頷いた。

よく見ると、レイは私の手を握っていて、頷いた時に無意識に力を入れた。

「……レイ、ずっと手、握っててくれたの?」

私がそう聞くと、レイは2回ぐらい頷いた。

「…ありがとう。」

私がそう言うと、レイは何かが溢れたのか、泣きそうな顔をしていた。
それがどういう感情なのかは私には分からなかったけど、ただ本当にレイの優しさが嬉しかった。

レイがまた私の手に少しだけ力を入れた。きっとこれは、意図的だと思うけど。

その時、部屋の扉が開いてカイルが入ってきた。

「黒のキング、もう夜になったし、そろそろ帰れ………。」

カイルは私達の方まで頭を掻きながら歩きながらそう言い、レイの肩に手を置いて私の方を少し見ると、よほど驚いたのか目を見開いたまま固まってしまった。

「…A。お前……。嘘だろ。」

「…久しぶり。カイル。嘘じゃないよ。」

そう言って笑うと、嘘じゃないと実感したのか、嬉しそうに笑った。

「…そうか、良かった。」


カイルの落ち着いたような声も久しぶりに聞いたけど、今はカイルより私が落ち着いている自信があった。

「黒のキング。悪ぃけど、帰ってくんねぇか?」


「…え?」


カイルがいきなりそう言うから、レイも驚いた顔をして、口を開こうとしたがそんな事はさせないと言わんばかりにカイルが口を開いた。


「お前さんの所の幹部達に伝えて来てくれ。それと、Aは起きたけど、まだ様子を見なきゃいけねぇから、まだ赤の軍に居てもらう。頼む。」

「…おう。分かった伝える。」

レイは真剣な顔をしたカイルにそう答えると、私の頭に軽く手を乗せた。

「A。また来るから。」

「うん、分かった。待ってるね。」

私がそう告げると満足そうに微笑んでスタスタと帰っていった。

パタンとドアが閉まるまでレイの背中を見送った。丁度その時、廊下の窓に見える月とが見えた。


「…ねぇ、カイル。今日ってアリスちゃんが来て何日目…?」

「………さぁな。忘れた。」

そう言って気まずそうに私からの視線を外したカイルの顔は何処か辛そうだった。

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Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時

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