過去編 6 ページ19
レイside
「Aに会いに来た。」
赤の軍の兵舎に着き、門兵にそう告げた。そう言うと、扉を開けてAの部屋まで案内してもらえた。うちとは違う雰囲気に少し驚いた。
「…わざわざありがとな。」
そう告げると、俺に敬礼して帰って行った。
少し堅苦しい感じに違和感を覚えたが、Aの部屋をノックした。すると、赤のクイーンが出てきた。
「…黒のキング?なんか用?」
「…Aの様子を見に来た。」
そう答えると、ハッとした顔をした。その時やっと気付いたが、目の周りが腫れていて、目も少し充血していた。
「…そう。俺も仕事に戻らなきゃだから。窓とかカーテンとか開けていいよ。でも夜になったら閉めて。」
そう言って俺の横を通り過ぎようとした時に思わず声をかけていた。
「…辛くねぇの?」
その俺の言葉を聞いて、止まった。何も喋らないまま俺に背を向けている。その背中を黙って見ていた。
「…何で?」
俺の方を振り向いて無理して絞り出したような声でそう言った。
俺の方を見た顔は、今にも泣き出しそうで、でも何かを堪える顔をしていて、俺は何も出来ないまま去っていった。
「……あれが、Aが言ってた顔か。」
『最近、何かを我慢したような顔しててさぁ〜。
相談聞くよって言ってるのになぁ〜…。』
俺とAは同じ学校に通ってはいたが暴れていたから、友達は少なかった。それに、Aも赤の軍と接していた方が周りの目が痛くなくて済むと言って、基本赤のクイーンと一緒にいた。
噂はすぐ広まるもので、"2人は恋人同士"とか色々騒がれていた。
中でも強力だったのは、"赤のクイーンはAが好き"と言うもの。
確かに、Aをたまに見かける時は横に赤のクイーンがいた。高確率で。
その事を知っていた俺は、Aに適当な相槌しか出来なかった。
Aの部屋に入って、寝ているAに近づいた。今は普通に眠っている。
部屋が暗かったので、カーテンを開けて光を取り入れた。お昼前の少し強い日差しだ。それに、今日は暑いから窓も開けると風が入ってきた。
_自分の気持ちが分からない。
学生時代、沢山の女の子に告白された。別に自慢話じゃない。フェンリルも良く告白されていた。
俺は全部同じ理由で断っていた。
『…ごめん、好きな子がいるから。』
叶わないとしても。別の男のものでも。
今も変わらない。
「…A。好きだ。」
そう呟いた声は、風と共に何処かに消えた。
114人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時