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STORY 54 ページ11

アリスside

深い暗闇の中、少しだけ誰かの声が聞こえる。電気が付いているのか、少し眩しくも思える。
ゆっくり目を開けると、誰かが私を見ているのが分かった。

「…アリスちゃん!!気分は?!大丈夫?!」

「…セス、さん?うん、大丈夫…だよ。」

肩を思いっきり掴まれ、泣き出しそうな顔をして私を見ていた。目が光に慣れていなくて、視界がぼやけている。

少し慣れた時、私にまだしがみついているセスさんの腕を見ると包帯が巻かれていて、思わず姿勢を正した。

「セスさん?!なんで怪我してるの?大丈夫?!」

「……え、??」

私が慌ててそう言うが、セスさんは不思議そうに私を見ていた。その反応に驚いて私は固まってしまった。

「……違うでしょ。」

名前を呼ばれてその方向を見ると、Aちゃんがコチラを冷めきった目で見つめていた。

「…A、ちゃん?違うって何が?」

「…とぼけないで。…所詮は偽物の私…。」

私がAちゃんにそう聞いたはずなのに、Aではなくて、そこには私自身が立っていた。

すると横でなにか揺れるものが見えて、振り返ろうとしたが、耳元で声が降ってきた。

その途端、何かもかもが終わった気がした。

「…アリス。お前は偽物なんだ。」

「偽物…?」

「そうだ。要らない物だ。」

知らない誰かにそう告げられた言葉が頭の中で反復する。その反動で下を見つめていると、急に頬を掴まれて、顔をそちらに向かされた。

そこに居たのは、私を前に襲ったローブを纏った男だった。顔が見えていなくて、心の中は恐怖で今すぐ逃げ出したいのに、体が動かない。

「…だから、私が引き取ってあげよう。行き場の無い、お前を。
…どうだ?嬉しいだろう?」

「…はい、トッテモ。」

_?!何で…。口が勝手に…?

「…一生、アナタにツイテイキま、ス。」

_違う違う!!私はこんな人に…!!

心の中では否定しているのに、口が勝手に動く。どうしようも出来ない。
私のその言葉を聞いた時、男が怪しく笑い、私に顔を近づけて来た時、後ろで大きな爆発音がした。

「…こんにちは。返して貰って良いかな?」

男が手を離したので、後ろを振り返った。そこには、レイとフェンリル、そしてAちゃんの姿があった。

「よぉ、お前ら。ウチのアリスに何しようとしてたんだ?」

フェンリルがそう言って、楽しそうな顔をして銃をこちらに向けた。
3人の後ろには半分だけどとても綺麗に輝く月があった。

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Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時

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