【第五人格】今日から居候します。

7.希望と ページ7

結局あれから一睡も出来ず朝を迎えてしまった。
時刻は8時。
扉の外からは時々廊下を歩く音や、話し声が微かに聞こえてくる。

昨夜、色々な事を思い出していた。
イソップは私の事などしらないと一点張りだったが、他の4人はどうだろう。

イソップは昨日何らかの原因で気絶したと聞いた。そのショックで一時的に私のことを忘れているだけで、本当はそんな事無くて、今日会えばちゃんと私を認識してくれるのではないかと……期待してしまう私は諦めが悪い。

ここは恐らく…、いや、間違いなく“ 彼ら ”の言っていた荘園。
あの時とは反対に、今度は私がここへと送り出されてしまった。そこまでは理解出来た。

きっと、イソップの他にもあの人たちがいる。


会いたい。


私は身だしなみを整え、用意してもらっていた服に着替えて隣のエミリーさんの部屋を訪ねることにした。


貸してもらっている部屋を出てすぐ真横、ノックをしようと扉に手を近付けるとちょうどエミリーさんが出てきた。


「あら、」

「あ、おはようございます。エミリーさん。」

「おはよう。具合はどうかしら。」

「おかげさまで良くなりました。……あの、少しお話をしたいのですが。」

「いいわよ。私も今あなたの様子を見に行こうとしていた所だったの。どうぞ、入って。」

促され彼女の部屋に入れてもらうと、花のような上品な香りがした。
部屋の間取りは先程私がいた場所と同じだが、女性らしくも必要最低限のものしか置いていないシンプルな家具の配置がどこか私の心を落ち着かせた。

ここに座って少し待っててと、小さなキッチンへ向かった彼女の背中を見つめる。

エミリーさんといるとすごく落ち着くな…。

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