50.いつか ページ50
「なあ」
「おい」
「…、いかないで」
「…最初死にそうなお前を見た時は、ドンくせえ女だと思ってた。」
「……」
「だが、行くあてのない俺たちを何の見返りも求めず迎え入れた。暫く一緒に過ごしてみてもやっぱりお前は変な奴だった。まあそっちからすれば俺らの方が変なんだろうけどよ。
……けど同時にほっとけねえって、…。」
苦しくて、顔を上げることも出来なくて。
紡がれるその言葉にただ耳を傾ける。
「知らなかった。こんなに平和な世界があることも、こんなに飯が美味いってことも。
…こんな馬鹿みたいなお人好しがいることも、な。」
「…馬鹿は余計だ、ばか…。」
「…なあ、俺たちはお前に何かしてやれたか？数え切れないほどの恩を、返せてるか？」
「…ん……」
酷く優しい彼の声が、私たちの最後を物語る。
小さく返事をする私に彼が笑う気配がした。
「…見ろ、俺ももうアッチに行くみてぇだ。」
勢いよく顔をあげれば、ナワーブの体は光に包まれ消えかけていた。
「ｯいや！」
「駄々こねてんじゃねえよ、お前らしくない。」
「いかないで…」
子供のように泣きじゃくる私に彼は目線を合わせて、ぽんぽんと頭を優しく撫でる。
「…俺さ、今思ったよ。お前の言う『奇跡』ってやつ、信じてみるのも悪くねえんじゃないかってな。」
「なわ、ぶ…」
「だからこれが最後なんて決め付けんなよ。泣くな。笑え。お前は阿呆みたいに笑ってる方が似合ってる。」
「…ぅん、」
「っはは、その調子だ。」
流れる涙はそのままに、私は精一杯笑って見せた。
「ナワーブ、私まだキミに名前を呼んでもらったことないよ。」
「名前…そうだったか？…んじゃ、次会った時、でっかい声で呼んでやるよ。」
「…絶対だよ」
「ああ」
「ぜったい…」
「約束だ」
差し出した小指に彼のそれが絡められ、そして
�爐泙燭吻�
木漏れ日のような温かな光に包まれたナワーブはそのまま消えてしまった。
「ぅぅ…ｯ」
夢のような私の非日常。
それはとても温かく、かけがえのないものだった。
彼らからもらったものは、ずっと私の心の中にあり続けるだろう。
「ありがとう、みんな」
きっとまた、いつか
Fin … … …？
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【湖の宝石】(プロフ) - そういえば、38話でイライはマイクに何を言ったんだろう… (2022年6月25日 0時) (
レス) @page38 id: 664df39994 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - りんごおいちぃさん» コメントありがとうございます！続編を望んで頂いてこちらとしては嬉しい限りです〜！その時がきたらまたよろしくお願い致します！！ (2022年1月10日 19時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - カェイトさん» 長い作品でしたが読んで頂きありがとうございました！！ (2022年1月10日 19時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - 粉雪さん» こちらこそ、更新が遅いのにも関わらず最後まで読んでいただきありがとうございました！優しい粉雪さんの夢ライフに幸あれ！！ (2022年1月10日 19時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - 【湖の宝石】さん» 同じく私も最後までジタバタしますね(笑)そして長い間ご愛読頂きありがとうございました。温かいお言葉に何度も励まされました！続編に関しては今はノーコメント…ですが、他の作品でもまたお会いできたらと思います！ (2022年1月10日 19時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：いくらちゃん。 | 作成日時：2020年9月1日 16時
