35.共感 ページ35
実は今朝皿洗いが終わった後、こんなやり取りがあった。
『今日はどこも行かねえの？』
『うん、昨日沢山買い物したし疲れたでしょ？今日は家でゆっくりしよう。』
『ゆっくりっつってもよ、ここじゃやることねえし、退屈過ぎてどうにかなりそうだぜ。』
『いやあ、そんなことを言われても…。あ、そういえば兄さんの部屋に色々あったな。』
『色々って？』
『人生ゲーム、将棋、チェス、麻雀、トランプ、リバーシ…、テーブルゲーム系は何でもあるよ。』
という感じで、文句ばかりのナワーブに仕方なくおもちゃを与えたのだった。
2階で何やら盛り上がっているような声も聞こえるし、お気に召したのだろう。
恐らく3人で遊んでいる。
「…大勢で群れるのが、あまり好きではなくて、」
詰まりながらも言葉を紡ぐイソップ。
相変わらずこちらを見てはくれないけれど。
「分かるよ、それ。」
私の返答に視界の端でイソップが顔を少し上げたのがわかった。
「私もさあ、大勢でいるより一人でいる方が好き。変に気を遣わなくていいし、静かだし…。」
「……」
家族が出ていってから私はずっと1人だ。
おかげでこの家をのびのび使えて自由だった。
うるさい兄さんも親バカな父さんもいなくて…、1人で…。
「ねえ、本は好き？」
「ほん、ですか。…ええ、まあ嫌いではないですけど…」
「ふふ、何それ。それじゃあちょっと待ってて。すぐ戻るから。」
「ぇ、あ…」
何か言いたげにするイソップを他所に、私はある部屋へと向かった。
(変わり者の自分なんか放っておけばいいのに。)
(変なひと。)
(1人が好きなんて、嘘だ。)
(嘘が下手な、変な人。)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 481人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「第五人格」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いくらちゃん。(プロフ) - 【涙奈】さん» ああっ、ナワーブを描いたと伝わってよかったです！ありがとうございます、現在シリーズ2の方をリメイクしております！ (2021年8月9日 13時) (
レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
【涙奈】(プロフ) - な、ナワーブのイラストが…尊い！ (2021年8月9日 13時) (レス) id: abf8c2ae5b (このIDを非表示/違反報告)
。。みかん - 私が名前間違って覚えてただけでした、、、サーセン！ (2020年10月4日 21時) (レス) id: be1335f358 (このIDを非表示/違反報告)
。。みかん - アンドルーっていたっけ、、、あれ？私がにわかなだけか？、、、インキャ組すこですわ。うん。インキャ組とマイク君はもう、、、ね？作者様貴方とは気が合いそうだ結婚しよう（）あ、そういえば本名ではないと思うんですけど、幸運児はラックとよばれていたと思います。 (2020年10月3日 23時) (レス) id: be1335f358 (このIDを非表示/違反報告)
いくらちゃん。(プロフ) - さとみさん» ご閲覧ありがとうございます！長く楽しんでいただけてとても嬉しいですっ。これからもこの作品をよろしくお願いします！ (2020年9月16日 16時) (レス) id: 30d3d73915 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いくらちゃん。 | 作成日時：2020年2月24日 23時
