【ヒロアカ】手違いで男子として入学しました。 (ページ14)

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14.漢気ページ14

切島side

学校が終わって、家に帰っている途中だった。

「――…！」

建物と建物の隙間から言い争うような声が聞こえて、居てもたってもいられなくて俺は薄暗いそこを覗き込んだ。

「カッコつけやがって！この制服は雄英だな？はっ、ヒーロー気取りかよ。こんなヒョロっヒョロなくせによォ。」

「ぃ…ｯ」

「おい！！何やってんだ！！」

「！」

暗くて良くは見えないが、男が一方的に相手の胸ぐらを掴んで責め立てているようだった。

男は俺の声が聞こえると舌打ちし、相手の身体を突き飛ばして去っていった。
追いかけて捕まえたいところだが、今は突き飛ばされた方の安全確認の方が大事だ。
俺は座り込んでいるそいつの元へ駆け寄った。

「大丈夫か…、って、

水瀬…？」

「切島くん…。」

そいつは、クラスメイトの水瀬Aだった。

突き飛ばされた時足を挫いてしまったらしく、俺は水瀬の家まで背負って送ることにした。
水瀬は最後まで遠慮して断ってたけど、歩けねえダチ放って帰るなんて選択肢はない。

「本当にごめんね、切島くん。」

「謝ることなんて何もねえよ。お前は自分のことだけ心配しろって。」

話を聞くと、女の子があの男に絡まれて嫌がっていたから声をかけた。そして女の子が逃げるとその腹いせに喧嘩を売られたのだと。

最低な野郎だ。
無意識に奥歯を噛み締める。

「…そこ、真っ直ぐ行って右に曲がったら僕の家。」

「おう。」

…にしてもこいつ軽過ぎだろ。ちゃんと飯食ってんのか…？
腕も細っこくてすぐ折れちまいそう。

そういえば今までまともに話したことすら無かったけど、体は男にしちゃかなり小さい方だったな。

「情けないよ。僕、雄英に入ったからって、自分が強くなった気でいたのかも。」

「人助けした時点で水瀬は十分強ぇよ。立派だ。」

「ありがと…。」

俺の肩に置かれた水瀬の手が、震えてる。
背中越しに鼻をすする音が聞こえて、思わず足を止めた。

「…水瀬、…。」

「なん、か…まだドキドキしてて…。切島くんが来てくれなかったら、…」

「……、」

なんだ、これ。
心臓が変な感じだ。

「水瀬、もう大丈夫だ。俺がいるだろ。」

「…うん…、ありがとう。」

(護ってやりてえって、思った。)