愛しい人よ 【 alan 】

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『失礼します』








メンバーもみんなその声に反応して
ドアの方へ視線を向ける。









『本日インタビュー取材をさせていただく〜』









言葉なんて入ってこない。
声だけが、その心地よい音程だけが
耳に残って、目は釘付けで。




一度深くお辞儀をした彼女は
パッと顔を上げ、

そして一瞬、本当に一瞬。
俺に視線を向けた。




すぐに逸らされた視線は
もうとっくに彼女の隣に立つ
カメラを持った女の人に移ってて

だけど俺は逸らせなかった。







会いたくて、会いたくて
たまらなかった女(ひと)。









『今日の流れなんですが、まずは皆さんの集合写真と各メンバーのソロ写真を撮らせていただきます』

隼｢はい！｣

『で、その後インタビューに移らせていただきます』









全く目を合わせないA。

何か一言あってもよくない？

いや、無理か。仕事だし。



でもさ、一応付き合ってたわけだし
嫌いで別れたわけじゃないし、
別に避ける必要もないし。









『じゃあ、まずは小森さんからお願いします』









ソロショットの撮影に移って
先陣を切ったのは隼だった。



『もう少し体斜めに』

『もう少しクールなイメージで』



隼に駆け寄って結構な至近距離で指示を出すA。

そんな、近づかなくて良くない？

いや、待てよ。
ソロショットの撮影中なら
目を合わせてくれんのか！









亜｢ねぇ龍友くん、｣

龍｢ん？｣

亜｢次俺やっていい？｣

龍｢ええけど、なんで？｣

亜｢いや、ちょっと｣








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