愛しい人よ 【 alan 】

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(your side)







亜｢これ美味い｣







気まずい雰囲気を壊すように
亜嵐くんは目の前の唐揚げを指す。








『あ、本当だ』

亜｢でしょ｣








ニコニコして、
頬張る亜嵐くんを見て思った。






私はまた、欲張ってしまっていた。


だって、私の願うことは







『亜嵐くんが幸せそうでよかった』







私の願うことは

" 亜嵐くんの幸せ "

だったじゃない。









彼が笑顔でいられますように
彼の夢が叶いますように
彼が幸せでありますように








また一緒に幸せな日々を、
なんて欲張りで身の程知らずな願いを
一瞬でも抱いた自分が馬鹿みたい。


亜嵐くんにはもう、
幸せにしてくれる人がいるんだよ。









亜｢なに、急に｣

『亜嵐くんが笑顔で幸せでいてくれたらいいな、ってあの日からずっと思ってて…』








目を見て言えないから
俯いてしか言えない。




｢Aは幸せじゃないの？｣




そんな私に亜嵐くんは
意地悪な質問をして、
私は





『幸せだよ、すごく。』




って嘘をついた。





だけど、全くの嘘ではないんだよ。



本当に私も幸せなんだよ、

『亜嵐くんが幸せなら』

小さな声で付け加えて、
だけどきっと彼には聞こえていない。






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