愛しい人よ 【 alan 】

− ページ24

.
(度々、引き続き過去のお話)








｢そろそろ行く？｣



神社から出よう、と
くるっと方向転換をした時。

ふと目に入ったのは絵馬。









亜｢待って、先行ってて｣







何故だか、
もう一度あの絵馬を見たくなった。


あの幸せだった頃の
思い出に浸りたくなった。





だけど、目に入ったのは
彼女の字によく似た
まったく覚えのない願い事が書かれた絵馬。









彼が笑顔でいられますように
彼の夢が叶いますように
彼が幸せでありますように









最後に書かれた星。

いつかAにあげた
ネックレスのチャームも星だった。


これが、彼女の願いなのか。


確信は持てないけど、
この絵馬は彼女が書いたものだと
思えてならなかった。







俺の幸せを願う彼女は
俺のそばから離れていった。


一緒に幸せになることを
彼女は諦めたんだ。








｢行くよー｣








友達の声で我に返った。

本当に俺達は終わったんだ。








.









今になって思う。

あの絵馬を見つけた時だったら
まだ間に合ったかもしれない。




あれから一年。

何度も何度も
夢見た彼女との再会は
驚くほど突然で。


だけど、その再会は
まだ諦めきれない俺に、
もう彼女が前に進んでいることを、
思い知らせるだけだった。



何度も何度も
あのメッセージを読み返す。






A亜嵐くんとまた会えて、
嬉しかったけどやっぱり連絡は
取らない方がいいと思うの






もう、本当に
Aは俺を過去にしたんだ。






.

君と僕が歩き出した日→←−

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す