愛しい人よ 【 alan 】

いつか又会えるその日まで ページ37

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(alan side )







『この1年、いないよ』








約束の日。
気まずさは拭い切れずに
俺たちはポツリポツリと
少しずつ会話をした。



俺と別れてから彼氏はいない、と
Aは言った。


だけど続けて彼女は


『恋愛よりも仕事に必死で』


と、まるで突き放すかのような台詞を吐いた。




いや、たぶんAに
そんなつもりはないんだろうけど

だけどすごく壁を作られたような
そんな気分になった。



《これ以上、踏み込むな》

そんな壁。




だから、当たり障りない言葉を
返すしかできなかった。





それから俺たちは

｢これ美味いね｣
『これ食べてみたい』

なんて、これまた当たり障りない会話しか
しなかったと思う。








『亜嵐くんが幸せそうでよかった』








ふと、Aはそう言った。

笑ってるんだけど、
泣きそうで、
だけど何か吹っ切れたみたいに
表情は晴れやかで


『亜嵐くんが笑顔で幸せでいてくれたらいいな、ってあの日からずっと思ってて…』


ってモジモジしながら言った。








亜｢Aは幸せじゃないの？｣

『幸せだよ、すごく。』








幸せ、なんだ…


パッとAの顔を見れば
下を向いて何か言ってる。



微かに聞こえた言葉は
彼女らしい、優しい言葉。





" 亜嵐くんが幸せなら "







俺が幸せなら、
Aも幸せ…






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