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Noside
バチッと音を立てながら青い稲妻のようなものが走り呆気なく転がった鬼の首。
自分の方が階級が上であり、上の立場にいるというのに
鬼の気配に気づくのが遅く、獪岳はこの女によって助けられたことに初めは苛立ちを覚えた。
が。
その感情はすぐどこかへいき、今放たれた技の方が気になった。
(「なんだ今の…こいつが使うのは雷か…?」)
(「…いや。違う。」)
自分と同じ呼吸を使っているのならその判断はすぐに分かる。
大体色が青色など、雷の呼吸ではない。
しかし、
(「……壱ノ型に似てる。」)
自分が唯一使えない壱ノ型にその技は似ていた。
似ていた、といってもほとんど同じ。
『?あの…桑島…さん?』
少女の声でハッと我に返る。
(「…気に入らねぇ。」)
その技を使われた、この事に自分は喧嘩を売られているのかと思った。
今すぐにでも掴みかかりたいが、今感情をむき出しにしてしまえばここまで取り繕ってきた人格が台無しだ。
そう思い獪岳は残りの鬼に斬りかかった。
_____
幸い残っていた鬼は雑魚鬼で、すぐに任務は終わり2人で山を降りていた。
2人で、といっても、未だにイライラが止まらない獪岳は少女より前の方へズンズンと先へ歩いていた。
そんなことを知らないかのように獪岳へどんどん会話を振るこの少女。
いつまでも話しかけてくる少女に、
ついに獪岳は我慢の糸がきれた。
立ち止まり、振り返って少女をみる。
獪岳「……俺はお前のことが嫌いだ。
何の呼吸かは知らねぇが、
俺が使えねぇ技に似ている技で俺を庇うようにして使いやがったあの技。
いつまでも話しかけてくる図太さ。
…あのカスのようなその髪色。
何から何まで俺を苛立たせる。
俺は、お前が嫌いだ。」
面と向かって2回も嫌いだ、と言われた少女は一瞬呆気にとられた。
だが、何故かすぐに嬉しい、といった感情に変わった。
『…今まで、ずっと素じゃない桑島さんでしたよね。
それでいたいのなら、構わないのですけど……でも私そんな偉い立場でもないので、普通に…むしろ上官なので…、そんなに気、使わないでください…?』
『私は、やっと、ちゃんと桑島さんと話せた気がして
とても嬉しいです。』
その言葉に、獪岳は目を見開いた。
普通、こんなキツいことを言ってしまったら、特にこのくらいの小さな少女に言えば大抵は怖がってもう関わってこないと思っていたのに。
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奥山乃愛(プロフ) - 私鬼滅の刃のキャラ全員好きなんで累がもし生きてるなら嬉しいです……… (2022年6月9日 18時) (レス) @page19 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
奥山乃愛(プロフ) - すいません質問です!この小説累って生きてますか? (2022年6月9日 18時) (レス) @page11 id: fdc1778b4b (このIDを非表示/違反報告)
ぴゃさん - 自分の名前でやったら無事キュン死できましたありがとうございました (2020年11月7日 14時) (レス) id: e5f52d7032 (このIDを非表示/違反報告)
MAER - こんばんわ!素敵な作品ですね!応援してます:) そういえば68話の最後の方「なほ」が「かな」になってましたよ! (2020年7月26日 22時) (レス) id: 7446762651 (このIDを非表示/違反報告)
コットンキャンディー(プロフ) - ちょっと遅れましたが続編おめでとうございます!短編?面白かったです!体調に気をつけて下さいね(*^^*) (2020年6月16日 23時) (レス) id: 5295ad42ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タラの芽 | 作成日時:2020年5月29日 14時