お隣さんが不審者なんですが【fj】 (ページ25)

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お隣さん、二十三日目。ページ25

「もう、冷やかさないでってば」

三人を冷たい目で見れば、『ごめんごめん』と謝られた。私は別にいいけど、フジ君が可哀想だ。

「ねぇ、こんなん嫌でしょ、フジ君？
……フジ君？？」

問い掛けながら振り返る。
『そ、そうだね』と答える彼の声は上ずっている。
それに心做しか顔が赤いような……

「ほら、やっぱ満更でもねぇじゃん！」

キヨが嬉しそうにまた冷やかす。
何、冷やかすのが生き甲斐なのこの人。趣味悪。
ヒラ君もこーちゃんも止めてくれって。
確かに、私も別に嫌じゃないけど。

「「「「……え？」」」」

四人が同時に私の顔を見た。
え、私何かおかしなこと言った？

「今A、私も別に嫌じゃないけどって……」

「え、言ってない」

「今言ってたよ……？」

嘘、声に出てたの？
やらかし案件じゃん。

「うっそ、ごめん！冗談！信じて！？」

そう言ってもフジ君以外には通用しない。
そんなん分かってるけどさ……

「あのね、そんな冷やかされたら、これから気まずくなるの私とフジ君なの。私だってフジ君と仲良くしたいと思ってるんだから、やめてくれない？」

初めて正論に近いものを言った気がする。
私の言葉を聞いた三人は、同時に申し訳なさそうに頭を下げた。

「ごめんっ、Aとフジが仲良いのが羨ましくて、つい。嫌だったならもう辞めるから、許して」

「俺もキヨと一緒。Aちゃんもフジもごめん」

「俺も同じだ。ついつい乗っちゃって……」

キヨ、ヒラ君、こーちゃんが口々に言う。
私とフジ君は顔を見合わせ、頷いた。

「いいよ、三人とも。顔上げて」

私が言うと、三人は顔を上げてくれた。
確かに、冷やかされたのは嫌だったけど。

「フジ君が嫌かなって思って注意しただけなんだ。だから私は怒ってないよ」

フジ君は驚いたように私を見た。
それから一言、『俺は嫌じゃなかったけど』と。
三人は冷やかすことこそして来なかったが、むしろ今度はおかしなスイッチが入ったみたいで。

三人で何やら円陣を組んで、なんちゃらするぞー、おー、みたいに気合を入れて戻って来た。

「……何してきたの？」

フジ君が訝しげに聞くも、ヒラ君が『それは秘密』と微笑むだけで。他の二人も答えない。

「本当に変な人たち」

と、思わず笑ってしまう。
でも、みんな仲が良くて羨ましい。
こんな仲間が欲しかった。私だって。

脳裏にひとつ、考えがよぎった。
この四人なら──。