検索窓
今日:2 hit、昨日:5 hit、合計:81,243 hit

お隣さん、二十日目。 ページ22

「えっと、私は京極Aです。フジ君の隣の部屋に住んでます。よろしくお願いします……」



消え入りそうな声で言うも、三人ともきちんと聞き取ってくれたらしく、口々に『よろしくね』『よろしくな』『よろしく』と言ってくれた。



そこで話が途切れたので、なんとか話題を作ろうと力を振り絞りまくった。



「あ、あの、ヒラさんとこーすけさんとキヨさんって、ゲーム実況者……ですか?」



この感じは恐らくフジ君と同業だろう。
その予想は当たっていたらしく、三人とも頷いてくれた。



大手のゲーム実況者が揃ってファミレスにいるとか大騒ぎになってもおかしくないが、そこは小説の特権、ご都合主義ということでご勘弁頂こう。



「あ、全然関係ないけど、ヒラで良いよ?さん呼びとか慣れないしよそよそしいじゃん」


「俺も。こーすけとか、後はこーちゃんって呼ばれたりもするから好きなようにどーぞ」


「俺の事はキヨでいいよ。君もさんも付けなくていいから」



初対面なのになんてフレンドリーな人達なんだ。
じゃあそう呼ばせてもらおう。



「えぇと、ヒラ君とこーちゃんとキヨ……で合ってる?」



控えめに聞いてみれば、三人とも微笑んでくれる。



「合ってるよ〜。これからよろしくね」


「やべぇな、俺フジに嫉妬されるかも」


「おう、合ってるぜ」



こーちゃんが、『俺フジに嫉妬されるかも』と言っていたので不思議に思いながらフジ君を見たら、物凄い目でこーちゃんを睨んでいた。何この人怖。



「ふ、フジ君……?」



私が声を掛けると、フジ君はまたすぐにいつもの優しい雰囲気に戻った。さっきのは何だったんだ?



「ん?どうした?」


「今、すごい顔してこーちゃんの事睨んでた……」


「気の所為だよ」



気の所為じゃねぇよとツッコミを入れたかったが、丁度料理が来たので一旦区切られた。
食事をしながらまた会話が始まる。



「Aってすげぇ可愛いけどやっぱモテるよな?」



そう聞いてきたのはキヨ。
目を輝かせているその姿はまさしく子供のよう。



「別に。全然だよ」



嘘つけ、と返されるが、私は本当にモテない。
自分磨きを怠り過ぎたのだろうか。



「えぇ?でも俺惚れちゃいそうなくらい可愛いと思うよっ?」



ヒラ君がニコッと笑う。
天使過ぎない?ねぇ?
だが隣からは負のオーラが。



「フジくーん……?」


「気の所為気の所為」


「やっぱ自覚あんじゃん!」



不毛過ぎないか、このやり取り。

お隣さん、二十一日目。→←お隣さん、十九日目。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (93 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
123人がお気に入り
設定タグ:実況者 , フジ , 最終兵器俺達
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:緋奈香 | 作成日時:2019年8月13日 6時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。