お隣さん、十九日目。 ページ21
待ち合わせ場所らしいファミレスに到着すると、少し遠くの席で男の人がこちらに手を振っているのが見えた。
「おーい!フジ!こっちこっちー!」
その人の声はバカでかくて、あまりにもはっきり聞こえてくる。
店員さんはそちらに目をやったあと、『お連れ様ですか?』と問うた。
フジ君が『そうです』と頷けば、店員さんがそこの席に案内してくれた。
その席に座っていたのは、三人の男性。
一人は、毛先の方が赤っぽく染まってるヤンキーみたいな人。さっきのバカでかい声の人だ。
もう一人は、茶髪で可愛らしい雰囲気の人。
もう一人は、金髪の少し大柄な人だ。
「おい、フジ遅か……うん?」
相変わらずのバカでかい声で、ヤンキーみたいな人が言った後、少し首を傾げて私の方を見た。
目ぇ付けられたぁぁ……
怖くてフジ君の後ろに隠れると、その人は笑った。
「もしかして、フジの友達ってその子?嘘、めっちゃ可愛いじゃん。彼女かと思った」
かかか彼女ぉぉぉ……!?
いとも平気にそんなこと言うなんて恐ろしい……
続けて、茶髪の人が口を開けた。
「ホントだ、可愛いね〜。あれっ、もしかして、こないだ話してたお隣さん?」
「お隣さん……?それいつ聞いたの?」
と、訝ったのは金髪の人だ。
こないだって、いつ?てか私の事話したの?
分からないことだらけで混乱してしまう。
「ちょっと3人とも、Aちゃん困ってるでしょ?……ごめんねAちゃん、こいつらそういう奴なんだ」
「ううん、大丈夫」
「どういう意味だコラ」
場末のチンピラみたいな首の曲げっぷりを披露するヤンキーみたいな人。
やっぱ怖いよこの人……
「まぁまぁ、とりあえずフジも君も座りな?
キヨが座ってる方で大丈夫?」
茶髪の人が、そう促してくれる。優しそうな人だ。
彼の言う通り、ヤンキーみたいな人の隣にフジ君、その隣に私が座り、斜め前が金髪の人で、真正面が茶髪の人という席順になった。
自己紹介云々の前にまずは注文だけ済ませる。
それからお互いの自己紹介になった。
「俺はヒラ。よろしくね」
にっこり笑うのは茶髪の彼。ヒラさんというらしい。
「俺はこーすけだ。よろしくな」
そう言ったのは金髪の彼だ。こーすけさんか。
「俺はキヨ。こん中では一番有名。よろしく」
最後にヤンキーっぽい人が自己紹介した。
あの人が一番有名なんだ。
フジ君が『また余計な事言って』と注意していた。いや、おかんかよ。
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作者名:緋奈香 | 作成日時:2019年8月13日 6時