お隣さんが不審者なんですが【fj】 (ページ20)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:81,232 hit

お隣さん、十八日目。ページ20

「仲間？仲間って、ゲーム実況者の？」

「そうだけど……ダメ、かな」

ゲーム実況者仲間かぁ。
どんな人達なんだろう。

「全然。本人達がいいならね」

「やったぁ……！きっとあいつらも良いって言うと思うよ！」

あいつらって言ってるあたり仲がいいんだろう。
私にはそんな仲間なんていない。
学生時代から今までずーっとそう。
だからそういう仲間がいる彼を羨ましく思った。

「そっか。じゃあ是非是非」

「えっと、じゃあさ……これから、時間空いてる？」

「これから？」

時計を見れば、そろそろお昼前の11時だ。
朝ご飯を抜かした私の胃が限界を告げようかという頃。
案の定、その一瞬後に私の腹の虫が盛大に鳴いた。

「あ……」

「あ、そうか、俺のせいで朝ご飯食べてないのか。
じゃあさ、一緒に食べない？」

「ふぁい！？」

何その返事、と笑われた後、『あいつらも一緒でいい？』と聞かれた。
あいつらとは、恐らくフジ君の仲間のこと。
知らない人と食事とか、コミュ障極めてる私からしたら地獄そのものな訳だが。

「……食べます」

人間誰しも空腹には勝てまい。
私もその例に紛れもなく漏れはしない。
フジ君は、ふふっと笑った。

「そっか。じゃあ連絡するから待ってて」

そう言って、フジ君はスマホを取り出して電話をかけた。しばらくすると繋がったようで、スマホからも少しだけ相手の声が聞き取れた。

「うん。そうそう。いつものファミレスの……あのさ、俺の友達も来るけどいい？……大丈夫？了解、じゃあ後でなー、はーい」

比較的短い会話で終わらせる辺り男子だ、と思う。
女子って電話が長いイメージがある。
お母さんも然りだ。長電話の代名詞だもの。

「大丈夫だって。それじゃあ行こっか？」

フジ君に手を引かれ立ち上がる。が……

「行こっかって、この格好で行けるわけないでしょ！」

今の私は、Tシャツに高校の頃のジャージとダサいにも程がある格好だ。加えて髪はただ軽く結んでるだけだしメイクすらしてない。
私この人にドすっぴん晒してたのかよ恥ずかし。

「え？……あぁ、そっか」

そっかって何だよ。
そうツッコみたいのを我慢し、私は急いで言った。

「着替えるからあっち向いてて」

ワンルームだし、仕切りもないからそうするしかない。フジ君は顔を赤く染めてから頷き、向こうを向いた。

着替え終え、髪を整えてメイクをする。
なんとかすぐに準備をし、彼と共に家を出た。