ヒロインの仕事を断れないモブ

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太宰side

[今日はいい心中日和だねぇ」

来客用の机に置かれた香ばしい香りがする珈琲、国木田くんが書類をせかせかと運んでいる音、

小鳥がチョンチョンと鳴いている声、桃花ちゃんが仲良く探偵社員と話している声....

あの日私はソファにゆったりと横たわっていた

その時だった

「あの....皆さん大変です！！」

ゼーハゼーハと息を切らし谷崎くんが少し傷の入った朽葉色のドアを勢い良く開ける

「お兄様..如何したのですか？」

ナオミちゃんが谷崎くん(兄)にまるでs極とn極が引かれたようにべったりとくっついている

「其れは...三宅さんが何者かに攫われたんです！！」

谷崎くんがいつも三宅さんが持ち歩いている灰色のトートバッグをみんなに見えるように右手で少し上にあげる

「あの三宅さんが?」

「事務員で異能も持ってないのに?」

小鳥がチョンチョンと鳴く声が静かになり、探偵社がざわざわと騒がしくなる

三宅Aー

探偵社で一番静かで長くて綺麗な黒髪が特徴的な美しい女性だ

そして探偵社で一番謎が多い女性でもある

そんな彼女は異能力を持っていないため、探偵社では事務員をしている

では何故そんな彼女が何者かに攫われたのだろう？

私は単純で今後の鍵となる大きな疑問を抱いた

そこで谷崎くんに私はこんなことを聞いてみた

「谷崎くん、そのトートバッグ何処で見つけたの?」

「えっと...確かポートマフィアの近くにある裏道に落ちていたらしいです..警察官の方がこの三宅さんのバックをたまたま拾ったらしくって...」

(やっぱり...)

さめきった珈琲の水面に太宰がニヤリと笑う顔が写っていたのだった

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