fouty-nine ページ9
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俺は教えられた部屋に向かう。
君はなんて言うかな。
真っ赤に泣き腫らした俺の目を見て、
血が出ている俺の拳を見て。
ノックすると、蚊の鳴くような声で
中から返事が聞こえた。
「…………A、」
後ろ手に扉を閉めると
彼女は俺に縋るように抱きついた。
ふわりと香ったフローラルは
懐かしくて、愛おしくて、苦しいものだ。
『……あらん、くん……』
「…こんな姿、見せたくなかったな」
情けない声でそう呟くと
君は一生懸命、首を振った。
そっと彼女の肩に触れると、
Aは俺の顔を見つめて、涙を流した。
「…全部、教えてもらったよ」
『…うん………』
２人ベッドに並んで座る。
俺は君に、君は俺に
それぞれ伝えなきゃいけないことがあるから。
俺も頬に涙が流れた。
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「……俺は、なんにも知らなかった。
俺と、Aが、…異母兄弟だってことも
俺が昔、ここに住んでたってことも
記憶がないのは事故にあったからってことも
……全部。」
あの人から話を聞いて
自分の無知さに、悔しくなった。
俺の母親は、ここの家政婦だった。
そして、あの人の愛人でもあった。
俺を孕んだ母は、誰からも助けられることなく
俺を産んで、また働き始めた。
俺を隠すように書斎に閉じ込め
毎日、毎日、ひどい扱いを受けながら。
「…１発、殴ってやったんだ。
なんで、助けなかったんだ、って
なんで俺のこと、産んだんだ、って。
そしたら、あいつね、
……全部、お前の母親のせいだろって言うんだ。堕ろせばいいって言ったのに、産みたいって言ったのは…お前の、母親だからって、」
絶句した。
この世の中にこんなクズが、
のうのうと生きているなんて、
狂ってるとすら思った。
「…そしたら、１発じゃ、治まらなくってね
…何発も、殴った。…殺したいとすら思った。
……あいつね、物乞いするんだよ、？
やめろ、やめてくれーって。それが余計にむかついて、気がついたら、…意識なかった。」
晴太郎くんも、SPも、
誰も止めなかった。見ているだけだった。
白目を向いて倒れる目の前のクズを見て
なんて無様なんだろう、と嘲笑した。
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作者名：ささら | 作成日時：2018年2月23日 20時
