蝶よ花よと美しく２ (ページ8)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:27,063 hit

fouty-eight ページ8

.

俺の言葉に、Aは

動かなくなった。動けなくなった。

それがどれくらいだったんだろう。

数秒、もしくは数十分だったのかもしれない。
扉が開いたことで彼女の魔法は解けた。

「…ここにいたんか」

『……。』

「お前は部屋いけ。…アランくん、来て」

冷酷な彼の声ひとつで
彼女は動き出しあっという間に取り残された。

ひとつ深呼吸して、彼と目を合わせると

背中を見せ歩き出した。

「…心の準備、いる？」

大きな扉の前で彼はそう聞いてきた。
きっとこの先に、例の父親はいる。

「………いるかな、」

「…もう、全部思い出したやろ」

「……こんな大事なこと忘れてたんだね俺」

そう言うと彼は複雑な顔をした。
そして、何かを言いかけるもやめてしまった。

「…しゃあないわ、」

「……何を、話せばいい、？」

「聞かれたことに答えればええ、答えたくないことは答えなくたっていい。」

「……わかった。」

彼はぽんと俺の肩に手を置いた。

それは俺を安心させるだけの役割を果たし
また、感情のないような顔をした。

俺は、会いにいくんだ。

ほんとうの、俺の " 父親 " に。

.