蝶よ花よと美しく２ (ページ21)

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走馬灯、のような。

…いや、俺はまだ死なないから、
フラッシュバックのようなものが見えた。

" ……あの、"

「えっ？」

" はい、これ "

真っ白なティッシュが溢れんばかりに

彼女の手に積まれていた。

「あぁ、すいません、ありがとうございます」

俺がお礼を言うと、その人は
ぺこりと頭を下げまた歩いていった。

ただ、何気ない自然なことだった。

けれど火がつきそうなくらい
心臓の動きは速くて、荒ぶっていて。

体内で動揺が、止まらない。

「………あらん？」

「……………………っ、え？」

「はやくやろーよ、」

手招きする美勇人くんが、目の前にいる。

それすら幻かもしれないと思った。

やっぱり夢なのかもしれないと思った。

けれど、確かに君はいた。

その事実が、

哀しくて辛くて苦しくて嬉しかった。

「…なんで、泣いてんの？」

「え、……俺、泣いて…」

頬を触ってみると、生温いそれに当たった。

「………嬉し涙、だろーね」

彼は、穏やかな目で俺を見つめて
全部見透かすように、そう言ってのけるのだ。

冷たい風は、涙を凍らせるように

俺だけに優しく吹き付けた。

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