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「やっべえ！あらん雪だよ！！」
「…毎年のことじゃんか、」
センター街のど真ん中。
男２人、並んで鼠色の空を見上げる。
「あー、なんで顕嵐とティッシュ配りなんかしてんだろうなー、」
「……はいはい」
「去年の今頃とか、俺、No.1ホストだったんだけどなー！！！」
「それは、盛りすぎ。」
美勇人くんは、へへっと笑って
花壇のそばに座って煙草を吸い始める。
俺も隣に立って、今日何度目かの休憩。
「…煙草、やめれば？」
「やめらんないんだよねぇ
顕嵐は吸わない方がいいよ。こんなん。」
そんなこと言いながら自分は
ヘビースモーカーで、１日何本吸うのやら。
馬鹿はやっぱり言うことが違う。
「…顕嵐は、ホストやめてよかったの？」
「なんで？」
「別に俺はそれほどあの仕事に価値とか感じてなかったけど、顕嵐はちゃんとしてたじゃん？」
「……ちゃんとなんか、」
あれを ちゃんと と言うのなら
ニートだってフリーターだって
ちゃんとしてることになる。
「…ま、最終的には俺の方が稼いでたけどな」
「美勇人くんが俺のお客さん持ってくからでしょ！？」
「そんなん知りませーん！」
成長、してないと思う。
いつだって美勇人くんに甘えて
ふらふら安定しない生活を送って。
でも、あんな苦しい思いばっかしてた時より
今の方がよっぽど楽しい。
「ほら、やるよ！煙草捨てて！」
「はいはい、お前はオカンかっ」
立ち上がって、前も見ずに歩き出すと
当たり前に人にぶつかった。
" あっ、と……すいません "
「や、大丈夫です、」
お互い俯いて、
ばら撒かれたティッシュだけを拾って。
でも、ふわっと香ったフローラルだけには
気付いてしまった。
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作者名：ささら | 作成日時：2018年2月23日 20時
