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何度目かの、君の家。
車を走らせてから一言も君は喋っていない。
思っていることも感じていることも
何一つわからなくって。
「………A、」
『…わたしは……！
………あらんくんが、わからないよ…』
家について、後ろ姿に名前を呼んだ途端、
溜まっていた思いは、鋭い言葉となって
唐突にとんできた。
「…うん、俺にもわからなかった」
今にも零れそうな涙を目にためて
俺を見上げて、睨んだ。
初めて見たそんな顔にときめきさえ、覚えた。
「…わからなかったよ、今なにがしたいか。
でも、今までと変わらないことは、
今の俺にも残ってた。…少ないけどね？
……俺は、Aが、好き。
だから、Aを、
助けたいって、強く思ってる。
……そうは、思ってるけど
そこから、足が出ないんだよ。今の俺は。」
はっきりわかる。
自分がどれだけ自分勝手で
弱虫で、意地っ張りで、口だけのやつかって。
適当に過ごしてきた今までの人生じゃ
きっとわからなかったことだ。
彼女は唇を噛んで、複雑な顔をする。
『……っ、わたしは、…ほんとはね、？
…君をつかって、晴ちゃんと、仲直りできればいい、って、そんな軽いことしか考えてなかった……
でも…っ、そんなうまいこといくはずが
なかったんだ……っ』
君の描く未来予想図は
俺と、君と、晴太郎くんとの、３人で
楽しく笑いあってるような絵だったんだろう。
けれど、それは甘すぎた考えで、
俺は君を好きになってしまい、
君も俺を好きになって、
晴太郎くんは、
姉を助けたいがあまり自分を犠牲にした。
「……みんな、馬鹿だなぁ………」
みんな、自分勝手で
人のことを思いやりすぎる。
変なとこで似てくれるなよ。
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作者名：ささら | 作成日時：2018年2月23日 20時
