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fifty-two ページ12

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「…帰ってええんか、」





彼は、俺にそう聞いた。

彼女とよく似たその瞳を俺に向けて
寂しげな顔をするんだ。





「…もう、なにもできない、から」


「……っAのこと、
助けるんとちゃうかったんか…!」





姉思いで、優しい君の言葉は

真っ直ぐ、深く、俺の胸に刺さった。







「…………俺だって……、助けたかったよ…」






今の俺には、助け方がわからない。


俺の顔を見た彼は、すこし驚いた後
すーっと頬に涙を流した。







ぼくらは誰も悪くないのに

何故、こんなにも苦しい思いをするのかな。






前までは、俺が救世主になるつもりだったのに
俺がみんなを救うつもりだったのに


いつの間にこんなに溺れていたんだろう。








「…Aを、っ、助けられへん……」



『……好きになって……っごめんね…』



「…俺らは、こうなる…運命だったんだよ」







なんで、こんなにも、こんなにも。


苦しくて、苦しくて、息をしようとする度に吸い込んだそれにむせて、逃げたくて、逃げたくて、けれどどんなに踠いたって底なし沼はどこまでも深くて、取り残された俺たちの逃げ場は、全て埋まった。








神様、どうか、ご加護を。







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作者名:ささら | 作成日時:2018年2月23日 20時

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