蝶よ花よと美しく (ページ30)

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「…どういうこと？」

彼は立ち上がって

俺の目の前のソファに座った。

「…父親がクズやってん。」

「は…」

父親は、ほんとの意味でクズだった。

突然に母が死んだと連絡があった。

死因は心臓麻痺で
父の目の前で息絶えたという。

母の死は、誰もが悲しがる死だった。

その後、父は母のポジションに立ち

経営を始めた。

「はい、ここで問題です。

父親がクズな理由とはなんでしょう。」

「え、あ……淡々と経営し始めた、とか？」

「ぶぶー、不正解や。」

「突然のクイズずるくない？」

彼はいひっと笑って、
また新しい飴を舐め始めた。

「母親、殺したんよ。あいつ」

「………っ、…」

「心臓麻痺、起こさせてん。

クスリいれて、飲ませて。
母親は疑うことなく飲むわ、そりゃ。」

「……警察とかは」

「だぁれも気付かへん。
…気付いてても言えへんようになっとるしな」

はじめて、こんなに生々しい権力を見た。

Aと彼の、抱えた闇を
覗き見したような気分になって

すこし、苦しくなった。

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