蝶よ花よと美しく (ページ21)

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彼女はふぅと息を吐いて
必死に落ち着かせてるみたいだった。

『…あぁ、びっくりした』

「心外だなぁ。」

『ふふっ、じゃあアランくんは年下なんだ。
わたしの方がお姉さんだ、わぁい！』

急にはしゃぎだした彼女は
年上だとは思えないほど子どもっぽい。

彼女は突然立ち上がって、

キッチンへと向かう。

『じゃあ、お酒の飲めないアランくんには
美味しい、ぶどうジュースでもあげよう。』

「……馬鹿にしてる？」

『え～、してないよ～』

「まぁ、いいけど。…ありがと」

彼女のゴールドのジャンパンと、

俺のワインレッドのぶどうジュース。

並べて比べてみれば
俺の方が年下なんだっていう事実に
思わず目が眩みそうになる。

ほろ酔いになった彼女は

全身から力が抜けたみたいに俺にもたれる。

『ふふ、』

「うわ、酔っ払いだ」

『え～、そんなことないし～』

「ふはっ、どこがだよ。」

グラスを置いた彼女の顔を覗き込むと
軽めのキスをされる。

「……今のはなんのキス？」

『ん～…アランくんかっこいいなぁってキス』

「そんなんあり？」

『だめ？』

そんなこと言われたって。

俺がだめなんて言えないのを知ってて
彼女は意地悪な質問をする。

俺からも軽いキスをお見舞いすると

彼女にすぐに睨まれる。

『…なに』

「Aかわいいなぁって、」

『あ、呼び捨てする。だめなんだよ～？』

「じゃあ…Aさん？Aちゃん？」

俺の呼び方に、首を傾げる彼女。

予想通りの反応に俺はくすりと笑う。

「ほら、Aでいいでしょ？」

『………うん。』

素直な声と表情に

純粋に俺の心がくすぐられた。

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