ミルクティーに角砂糖。【進撃の巨人】

ま っ す ぐ み つ め て ページ2

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　壁外調査から戻ったら、毎回恒例のデスクワークに追われた。
　三日四日寝ずにやっとの事で書類を終わらせたら、いつの間にか審議所にて行われた審議が結果を出していた。因みに調査兵団からはエルヴィン団長、兵長、ミケさん、ハンジさんが参加した。
　審議の内容はもちろん、『エレン・イェーガーの処遇について』。この審議でエレンくんが憲兵団と調査兵団のどちらに身を置くかが決まる。

　エレンくんとは、彼が訓練兵の頃によく話しかけられ、話しかけた仲だった。
　人懐っこい笑顔とは裏腹に、聞いてくる事は巨人か調査兵団に関しての事ばかりだった。口を開けば駆逐駆逐言っていたので、エレンくんが巨人化したと聞いて「あーあの子なら……」と一瞬思った。何があの子ならだ。

　審議によりエレンくんが調査兵団に任せられ、時にエレンくんの身を守り時にエレンくんのうなじを削ぐという班が結成された。通称リヴァイ班。
　兵長直々に選んだ班員の中に、幸運な事に私も選ばれた。エレンくんを世間の目から遠ざける為にと私達は本部から旧本部へ移動し、三日程経ったある日の事。



　「A、入るぞ」

　自室で書類を整理していた時、突然誰かが部屋へ入ってきた。……と言っても、ノックをしないで入ってくる人なんて一人しかいないけど。

　「どうしました？」

　兵長は部屋の中へ入ってくるや否や、私に調査兵団のジャケットを強引に押し付けて言った。


　「この間の壁外調査で見つかったものだ。……遅くなって、すまなかった。」


　それが誰のものかなんて聞く必要は無かった。
　私はそのジャケットを力いっぱい抱き締めて、出来るだけ心配をかけないように精一杯の笑顔を見せて兵長にお礼を言った。
　それからの事はあまり覚えていない。
　兵長が部屋を出ていったらせきを切ったように涙が溢れてきた。
　ジャケットには乾いた血が付着していて、それさえも愛しく思った。


　酷いタイミングだ、とAは一人自嘲した。


　連日の忙しさで彼の事など頭に無かった。いっそこのまま忘れてしまいたかった。しかしそれは許さないとでも言うようにまた私の前に彼が現れ、結果私はずるずると過去を引きずる。記憶の中にこびりついた彼を忘れられずに。きっと、これからもずっと。

　昼食は食欲が無かったので食べずに自室に籠っていた。昼頃エレンくんが書類を渡しに来た。しかしそんな事はもうどうでもよかった。

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