短編集の主役は？

浮気なんかで。/ut ページ22

A視点




またか。





何度目だろう。






また彼氏の鬱が浮気をしている所を見てしまった。




見なければ良かった。




ねぇ、もう信じられないよ鬱。

何回目だと思ってるの？

別れよう。




次に会う時に言おうと言葉を思い浮かべながら帰宅する。




相変わらず鬱は居ない。


そんなわかりきったことを悲しんでしまう。



と、同時にやっぱりさっきのは鬱だったんだと分かってしまい、本当に死んでしまいたくなる。








明日だ。

明日鬱と会う。




だからその時に。




いつも別れようと言っても彼の口車に乗せられ

結局別れられない。


こんな性格だから浮気をされるんだろう。









『別れよう。』

ここまではいつも言えるのだ。



「なんでなん？」




『浮気。』



今日こそは。ちゃんと別れよう。






『さようならっ！』



半ば強引とも言えるが彼の家を出て自分の家までの帰り道を急ぐ。






気づけば涙が溢れ出ていた。







あんな彼でもちゃんと好きでいられたんだなと思って少し安心した。









それからだった。






彼の部屋に遺されたのはひとつの遺書。




「Aちゃんへ。



ほんとにごめんな。浮気はしないって言っときながら浮気ばっかして。


ほんとにごめん。反省してます。




情けないけど、Aちゃんと別れてからAちゃんの大切さに気づきました。



もう、遅いけどな。









今度こそ浮気はせんから。ずっと言えんかった。






来世では俺と結婚して欲しい。





今の俺ではAちゃんをお嫁さんに貰う資格なんかないからさ。




来世で。





鬱。」






そのひとつのお手紙だけを遺して、彼は、鬱は。


死んでいた。







何故か涙は出なかった。







私が鬱のことを嫌いになったのか。それは違う。









来世でも会える気がした。








浮気していた最低な彼でも。






そんな彼を好きになっちゃった私も。








そして、最期に遺書を遺して死んでしまった鬱。









何故だろう。根拠はないが、会えるようなきがしたのだ。









鬱が最低でも、大好きだった。









だから、来世でね。









来世では鬱からプロポーズしてください。

大好きだから/sha→←1年/tn

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