きゅんとしたら寝ろ。

芸能人.2 ページ13

長いまつげ、ふわふわな髪、ぷるぷる唇。
すべてが私のものじゃないみたいに輝く。

私はこんなに可愛くない、きっと夢だ！


「そんなにひっぱったって剥がれないよー？
だって君はダイヤモンドの岩石だったんだもん」


普通の人がいえば臭くて鳥肌の立つような台詞は、彼の口から出ると胸きゅんの材料へと早変わり。

スタッフさんやプロデューサーさん、メイクさんも、可愛いと褒めてくださった



「ありがとうございます、すみません…」
「じゃあ、答えは出てるよね？」
「……はい」


大樹くんは暖かく歓迎してくれて、撮影が始まった。




『まずは仲良く手をつないでみようか〜』



なんだか偉そんな人がそう言えば、大樹くんは返事をして、手を差し出してくれた



「ごめんね、彼氏さんとかいるよね」
「いっ、いないです！」
「嘘、可愛いのに。こんな子ほっとくなんて勿体ないね」



次々とはずかしくなるような言葉を吐く彼は、きっとガンマンだ。

さっきから何回も胸を打たれている。


繋いだ手から、ドキドキが流れていってしまいそうで怖い。



『初めてなのに凄いいい表情だよ、
次は大樹くんがAちゃんの耳元に顔を寄せて内緒話してみて』



グッ、と寄せられた顔をつい見つめてしまうと、見すぎだよと笑われた。

大樹くんの息がかかるほどの距離。


ああ、私ばっかりこんな贅沢していいの？

すると大樹くんは、本当に耳元で囁いた





「Aちゃん、この後空いてる？」


『はいOK、つぎのポーズ行こう！』






顔が離れていくと、彼はニコニコと笑っていた。

それってどういう意味、と聞き直すことも出来ず、私は2回、縦に首を振った。







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