きゅんとしたら寝ろ。

幼馴染み/片想い ページ5

「あああああああ！？」


下駄箱を開くなり大声を出す馬鹿野郎こと大樹。
幼馴染みであり、私の片想い相手でもある。


「何、ゴキブリでも出たわけ？」

なんて、とぼけてみる。
私が一番知ってるくせに。

「誕生日おめでとうだって！ほら！手紙、と、うわ、え、俺の好きなやつー！」


そう。今日は大樹の誕生日。
自分の気持ちを綴った手紙と、こいつの好きなお菓子類を昨日のうちに、あいつが帰った後に入れていったのだ。

もちろん、名前なんかかけない。


「えへへ、俺のファンかな！ね！A！」
「はいはいおめでとう18歳！」
「お前もありがと、欲しかったやつ〜」


一応幼馴染みとして、きちんと他にプレゼントは用意した。

大した出費ではないし、大樹が喜ぶなら第一お金なんか気にしない。


「名前書いてないな、お礼行きたいのに」
「ふーん？」
「ふふ、恥ずかしいのかな？可愛い子〜」


その正体が私だなんて、大樹は知らない
そんなこと、わかってるのに。

(……っ、かわ…！？)

可愛い、だなんて初めて言われて喜んでる私がいる




「もし、私だったら、どうする？」
「これが？えー、どうしよっかなぁ」
「もしなんだから、深く考えないでよ」
「でもお前のことなら深く考えるよ」
「は、はぁ！？」



意味が深すぎるような、何も考えていないような大樹の言葉に、私は混乱した

いつでもそう、いつも隣にいた私は、いつもこいつに振り回されすぎた


「…気にしないで、もう忘れよ。誕生日おめでとう」
「そーだね、18歳だもんな」
「いや、意味わからんて」






(……ばーか)








いつも隣にいたのに、私の作った笑顔は見破れないんだね






◇
幼馴染み

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