きゅんとしたら負け。

世話焼き ページ35

「A」
「え、何？」
「……リップちょっと伸びてる。」
「うそぉ、ほっぺ？どこ？」
「じっとして、……はい大丈夫」
「ん、ありがとー」


優しくて気が利いてかっこいい自慢の彼。
私と違って頭のいい彼は、私立の高校に通っている。

だから、一緒にいられる少しの時間を、私は一番大切にしている。


だけどその時間も、バス停につくまで。

バス停が見えてきた。


「……なーにしょげてんだよ」
「だって大樹バス乗らない…」
「そろそろ慣れろよ、な？」
「私学校行きたくないぃ」
「Aが頑張って入った学校だろ？」
「そうだけど、」


そうだけど、寂しいものは寂しい

すると大樹は、私に触れるだけのキスをした



「その顔されると、俺も行くの辛くなる。狙ってんの？」



まさか。

大樹には学校頑張って欲しいし、楽しんで欲しい。

……大樹も、そう思ってくれてるのかな。





「お前なら大丈夫、頑張って行ってこい」
「うん…」
「いーこいーこ」
「もっかいキスをしよう、そうしよう」
「何だよそれ……まあいいけど」



少し背伸びをして、貴方の鼻の頭にもキスをした。

こうすればお互い、離れてても頑張れるよね。





◇

世話焼き

ムードメーカーver.関西弁→←ムードメーカーver.関西弁

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す