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S ページ14

「おい、」


声の方向から推測して顔を上げれば、そこには___大樹くん。

大樹くんは私が一目惚れした人であり、私の恋人でもあり、クラスメイト。


今ホームルームが終わって、放課後。

部活やら何ならが始まる時間。


だけど私と彼は部活に所属しておらず、すぐに学校を出るのが日課。

こうやって、毎回私の席に来てくれる。


「ああ、ごめん。今日は長くなりそうなの」


私は、学級日誌を書きながらそう答える。

今日は私が日直。
しかも一緒に日直の鈴木くんは、忘れて部活に行ってしまったみたい

すると、あからさまに不機嫌そうな顔。


「ごめんね大樹くん、先帰って?」
「は、なんで」
「待っててもらっても私遊べないから…」
「お前は俺がいなくていいわけ」
「よくないけど、待ってもらうのは、その、」
「申し訳ないです、とか言うなよ」
「……ごめんなさい」



こうなった大樹くんは誰も止められない。
まるで王様。

だけどね大樹くん。私は貴方を思って……なんて言ったら、また怒られちゃうな。




「あーあ、じゃあ浮気してこよ」




明らかに怒った声色。

じゃあね、と強めに私に告げた大樹くんは、長い足を生かした大股でずんずんと教室を出ようとする。


ずるい。

私がそんな冗談一番嫌いだって、わかってるのに。




「大樹くんっ!」
「何」
「日直の仕事、終わるまで待っててほしいな…?」
「ふうん。」
「……ごめんね、大樹くん。」
「俺のこと好き?」
「ええ!……うん、すきだよ?」
「声が小さい」
「も、もう!ばか!好きです!」



大樹くんは、ニタッと怪しい笑みを浮かべると、私の頬に手を当てた。

私の赤い頬とは対照的に、冷たい手のひらを気持ちがいいとすら感じる。


きゅっと目を閉じると、額に柔らかい感覚。



口じゃないのか、なんて恥ずかしいけど寂しく思った。

だけど。




「続きは学級日誌を書いたら。早く書けよ」






一生で、こんなに鈴木くんを恨んだ日はありませんでした。






( 鈴木くんがいればすぐ帰れてたのにっ )

( あ、だけど一緒にいれる時間増えた。 )

( す、鈴木くんナイス!……かも? )





リクエスト▷ ▷ ▷S(?)

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名乗るほどのものである - めっちゃ面白いですね。だいすきで、いっつもみてます! (2018年6月22日 22時) (レス) id: 47d2a3a5e8 (このIDを非表示/違反報告)
ぐーるな - 『卑屈な先輩』がきゅんきゅんしてお気に入りです〜!というか、1話目からきゅんきゅんして…負けましたぁ!! (2017年7月26日 17時) (レス) id: 1b19e65de3 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー - ムードメーカーヤバイです!キュンっとしました! (2017年5月26日 22時) (レス) id: 1f7727a96e (このIDを非表示/違反報告)
雨飴(プロフ) - まさかの1話目で負けました、、、強すぎますよ (2017年5月26日 18時) (レス) id: 91eb9af7ae (このIDを非表示/違反報告)
江戸の兎 - 同じく、優男にやられました(チーン)でも、すごくきゅんと来ました!これからも頑張って下さい! (2017年5月19日 20時) (レス) id: 7c6ad326a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぐらたん。 | 作成日時:2016年2月21日 3時

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