十九 ページ19
さて、クリスマス当日。
私は朝から準備に取り掛かっていた。
道場の皆には外出してもらい、準備が終わる頃に帰ってきてもらうことになった。
「A、ケーキのトッピング」
「A、これ盛り付けて」
莉花は流石店長をやっているだけあってか、仕事がスムーズでとても早い。
私もいつも作っているし、のんびりしている訳では無いのだが莉花に見習わされる。
準備をする事4時間、部屋の飾り付けやご覧もすべて揃った。
みんなが帰ってくるまでには後1時間ほどあった。
「よし、着替えんぞA」
「う、うん...」
_______
「ただいまぁぁぁ!!帰ったぞー!!」
玄関から大きな声がして、近藤さん達の帰りが知らされる。
私は急いで莉花と外に出て、迎える。
「お、おかえり...」
「おっかえり!!!さ、もう準備してるから手洗って召し上がれ!」
みんなが少し固まって、私たちの衣装を見た。
自分でもあまり自信が無い。
いつも質素な服ばかり着ているからにあわないんだろう。
「に、似合わないよね」
「ばっ、そんな事ねーよAちゃん!」
「そうですか...?」
近藤さんは私を慰めるように言った。
やっぱりにあってない...のかな。
「A、似合ってるから心配すんなって」
「そう...?」
「じゃ、みんなご飯食べよう!!」
莉花は食堂の方に向かっていってしまった。
綺麗な飾り付けがされた道場は何時もより雰囲気が違う。そのせいか、私も何処と無くぎこちない、
落ち着かない気がした。
「A」
「あ、土方君...」
「お前...あの...あれだ」
土方君は横を向いて自分の頭をくしゃくしゃと掻いた。私は訳が分からず首を傾げると、土方君は私の方に手を置いた。
「見せすぎ...」
「見せすぎ...?何を?」
「...」
土方君は目を細めて呆れていた。
私は自分の格好をよく見て、土方君の言っている事がようやく理解出来た。
「あ、あぁの...その...
さ、サンタさんだ!!ふぉっふぉっふぉっ!!!」
「...」
恥ずかしさを紛らわすものの、土方君は真顔だ。
「...い、いやその、ね?あの...」
土方君真顔でこちらを見ている。それを見てさらに気まずくなる。
「いや、お前...」
「ひ、ひじ...せ...ぃ」
「あぁ?」
私は気づかない土方君にイライラし、とうとう痺れを切らせた。
「土方君のせいだからぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ぶふっ」
私はその場から急いで去り、皆がワイワイ楽しんでいる食堂に向かった。
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時