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部屋に戻ると布団が引いてあった。

旅館の人が...?



神。





「さて、お風呂入ろ。」



と言っても、お目当ての露天風呂は当然入れない。
何故ならキスマークが大量に付いているから。



私は男達のことを思い出し、吐き気を覚えた。

仕方なく部屋の風呂を使い、体を洗った。
シャンプーやリンス、トリートメントなんかよりも先に跡を一生懸命擦った。
そして、水で流すと少しはマシな気分になる。

だが、跡は消えない。
土方君だって気づいていたと思う。

だが、あえてその話を触れなかったのは彼の優しさだろう。


「う...うぅ」


まただ。
涙を流してしまった。

いつだろうか、小さな頃泣かないと決めた日があった。



「無理だよ...」


私は泣き虫だから、そんなことできるはずが無い。
いつも誰かに頼っては泣いての繰り返しじゃないか?


泣いたことにより乱れた呼吸整え、風呂を出た。
それでも涙がは止まらなかった。
暑ぐるしさもあり、窓を開けると静かな風が吹いた。
そのままベランダへと出るとベランダ用の質素な椅子に座った。


「土方君...」


静かな空を見上げて思い浮かぶのは彼だ。

すると、ポツリと1粒。
大粒の雨が私の頭を打った。

「雲まで私の敵になる気?」

一つ、溜息をつくと部屋に入った。
ゆっくり窓を閉めると、洗面所に髪を乾かしに向かった。




__ブォン、とうるさい音を立て風を吹かせた。


「いい加減、涙も止まってくれないかな...?」

暫く鏡に映る泣いた自分とにらめっこをしていると
玄関からガチャリと音がした。


洗面所から玄関を見ると、少し空いたドアから顔を覗かせた土方君が居た。

「A、居るか?」

生憎、会いたくない。
なんて言えるはずもなく頬に伝う涙を肩に掛けられたタオルでゴシゴシと拭いた。


「どうぞ、入って」


精一杯の笑顔を見せて振舞った。
すると土方君はゆっくりと部屋に入り、座椅子に座った。

入っても特に何も喋らず、ただぼーっとしていただけだった。


「な、どうしたの?」


「あ?...あぁ、暇だから来ただけだ。邪魔なら帰るが...」


少し難しそうな顔をした土方君は頭を少し掻いた。
会いたくない。
今は特に会いたくない時間だった。

彼がいるだけで安心してしまうからだ。
涙目になるのが自分でもわかる。

また泣いたら、きっと彼はまた心配する。
そして、きっともううんざりだと感じるだろう。
慰めるのがしんどいのは私も分かる。



「い、今は用事があって...ごめんね」

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設定タグ:銀魂 , 土方十四郎 , 真撰組   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年4月8日 19時

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