八 ページ10
「...!」
「Aちゃん…すまねえ、手当を」
そう言って肩に手を回していた彼を近藤さんは下ろすと、俺は大丈夫だからと言って食堂に行ってしまった。
追いかけたかったけど近藤さんよりも傷がひどい彼を置いていくわけにもいかず、とにかく彼を自分の部屋に移動させた。
「いっ...」
「じっとしてて下さい」
「...」
頭から血が出て、体もすべて傷だらけの彼。
一体何があったのか?
「...何があったんですか」
手当をしながらそう問いかけると彼はまたいつものムスッとした顔をして
「お前には関係ねえ」
「関係あります」
「...ゴロツキと喧嘩しただけだ」
ため息をこぼしそう言う彼。
腕の手当と足の手当が終わると、気づかなかった顔の怪我に手を伸ばした。
その瞬間、パチリと目が合った。
恥ずかしくなり、目を逸らすと彼は私の顔を自分の方に向けてこう言う。
「早くしろ」
「は、はい...」
それでもまだ恥ずかしくて、目を逸らすと彼はすこしイライラし始めた。
「んだよ、手当しねぇなら着替えて寝てぇんだけど」
「や、あの...その」
慌てて説明しようとするが、痺れを切らしたのか彼は立ち上がり部屋から出ようとした。
「もういい。ったく、なんだってんだ」
また、ため息をこぼした彼。
私は部屋から出た彼を追いかけて、手を掴んだ。
「あ、あの…」
「んだよ」
「その、さっきは...目があって...恥ずかしくって」
言わせるなんて、本当にこの人は鈍感なのか
私が説明すると彼は驚いた顔をして顔を赤く染めた。
「そ、そうかよ...」
「手当の続き、してもいいですか?」
そう聞くとかれはコクっと頷く。
つかんでいた手を離すとまた私の部屋に戻った。
「終わりましたよ。ってうわぁ!?」
目が合うからと言って目を閉じてくれていた彼はいつの間にか寝てしまったようで、私と抱きしめ合うような形になった。
「もう、この人ってホント勝手ね...」
ゆっくりと布団に寝かしてあげると、寝返りを打ち、気持ちよさそうに寝た。
きっと疲れていたのだろう。
「髪、綺麗...髪紐外しといてあげようかな」
紐を外してあげるとサラサラと布団に落ちる髪。
女性の髪のように綺麗だ。
このまま寝かしてあげよう。
私は座椅子に座って寝ることにした。
ドキドキと鳴り止まない心臓。
さっきのことを思い出すとさらに早まる心臓。
「…もう、静かにしてよ。」
その日、私は恋に気がついた。
138人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます! (2018年2月25日 23時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 唐辛子の民さん» まさかそこまで言って頂けるとは…。とても嬉しいです!ありがとうございます。これからも見に来ますね。陰ながら応援してます! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 8d78b160ba (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» まっ、まさかっ!?あの愛音様!?いつも見させていただいてます!こんな方に見ていただけるなんて何たる光栄!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - まかろんさん» いやもう私もなんでこんなに伸びてるのかわかりませんよ。w多分私は神でも天才でも無いです。なんかこんなに褒めていただくと照れますね。w楽しんでいただき何よりです!更新がんばります!よろしくお願いします! (2018年2月25日 17時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 後れ馳せながら読ませていただきました。あなた様は天才ですか、神ですか、どっちですか。あ、秀才なんですかね。なんでこんな面白い小説書けるんですか、その文才分けてください。神は1人に二物も与えるんですね。楽しみにしてるので更新頑張って下さい! (2018年2月25日 15時) (レス) id: 8aa890658c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年2月24日 5時