逢いたいが情、見たいが病。【土方十四郎】

三十九 ページ47

「おう、じゃあ出発だ！好きに別れていいからなー！」



私は周りを見渡した。
まずは総悟くんを探した。



「総悟くん、一緒に甘いものでも食べようか？」


「はい！」


土方君は近藤さんと居た。
本当だったら、私も一緒に行きたい。
でも無理だよ...


土方君も私に目を合わせてくれない。




「Aさん、早く行きましょう」


「え、あぁうん、そうね」






＿＿＿＿＿＿＿



「美味しいですね〜」


「ふふ、そうね」


総悟くんが食べたいと言った店を適当に回っていた。

それにしても、噂に聞く通り大層な店ばかり並んでいる。
値段は高いが、そこそこ美味しいものが食べれるし文句はない。



「ありがとうございました〜」



お店を出ると、次はどこに行こうかと問う。



「あのネーチャン良くね？」


「子供連れてんじゃん、結婚してんじゃねーの？」


「どう見ても未成年だろ、預かってんだろ」




嫌な声がする。
周りを見ても未成年に見える女で子供つれてる人なんて私しかいない。
預かってる？大正解。

きっと多分次のセリフはそこのねーちゃん？だ。



「おーいそこのねーちゃん？」



まぁ、不正解ではない。



「...何でしょうか」


チンピラ共が私たちの前に来る。
こう言う人種、ほんとに嫌い。


「俺らと遊ばねぇ？子供はどっか置いといてさー」



「...は？」



頭に来た。
子供を何処かに置いておく？
言い方にも程がある。
本当にこう言う人達は嫌いだ。


「なんだよ、そんなガン飛ばすなって〜」


そう言ってケラケラと笑うチンピラ共。
すると総悟くんが動いた。



「おい！Aさんを馬鹿にするか！クソ野郎め！」


「総悟くん、辞めて！」


「目上の人に対する物の言い方とかあるだろうがガキがよー」


「つか、いい加減うっせぇんだよ...！」



男がそう言い放った瞬間、もう一人の男が総悟くんを蹴り飛ばした。


「うあっ」


総悟くんは私の後まで飛んで行ってしまった。



「いちいちうっせーな、さ、ねーちゃん。邪魔も居なくなったし遊ぼーぜ？大丈夫、ちょっと痛いかもしんねーけどな」



私は子供にも守られて
逃げてばっかり。


総悟くんを助けなきゃ...


そう思っても体が動かない。
頭が空っぽになったみたいだった。
何も考えず、男に連れていかれた。
ついたのは人気の無い路地裏。


「おいぼーっとすんなよ、ねーちゃん」


自分に失望したんだと思う。

何も出来やしない...

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