三十六 ページ44
「ちょいとここらで休憩するか!」
出発してから数十分。
かなり歩いた。
上り坂や下り坂が多いので、下駄を履いている足も疲れきっていた。
それに、日頃運動していない私には商店街までの距離は体力的に持たないと多分みんな分かっていた。
そのことを気遣って休憩を挟んでいるのかも知らない。
ハァハァと息が切れる。
風は冷たいものの気温は言うほど寒くはなかった。
「しんどかったらいつでも言えよ」
「へへっ、大丈夫、ちょっとしんどいだけだよ」
「倒れられたら困る。いつでも休憩してやるから言え」
「うん、ありがとう」
土方君は私の背中を擦りながら言った。
やっぱり、土方君の優しさは誰よりも一番嬉しかった。
そういえば土方君が道場に来たばかりの頃なんてすごく素っ気なかったのに...
「そろそろ行くぞー!」
なんて、こんな話したらきっと土方君は恥ずかしがるんだろうな。
________
「また上り坂...」
しばらく平地だったのに、また坂道が見えた。
本当にもうぐずりたい。ぐずぐずしたい。
「うざ、うざ。土方君この道平らにして」
「出来ねぇに決まってんだろうが」
「諦めたらそこで試合終了だよ」
「諦めるっつーかまだ試合も始まってねぇよ」
そんなこと言いつつ登ってるんだけどね。
ようやく坂を登りきると、そこには飲食店や服屋、駄菓子屋も全てあった。
「わぁ...凄い」
写真では店の写真しかないもんだから、なかなか周りの写真は乗っていなかったのだけど実際に見るとやっぱり凄かった。
...都会。
いや、江戸とかに住んでいる人たちからしたらこんなド田舎ってなるだろうけど...。
本当のド田舎に住んでる私達からすればこんなの都会でしかない。
そんな開いた口が塞がらない私達だったが、とうとう近藤さんが口を開いた。
「とりあえず旅館に荷物を起きに行こうか」
____________
「はい、ありがとうございます。」
「ではこちらに...」
今手続きをしている真っ最中だ。
最初は近藤さんに任せていたのだが、何が何だか分からなくなってしまったそうで私が変わった。
こんな都会に来て、近藤さんもかなり緊張しているようで。
「ごゆっくり」
綺麗な女将さんが御辞儀をする。
それにつられて無意識に私もお辞儀をすると、部屋に向かった。
私の部屋は一人部屋だった。
「ん〜...いい香りだな」
そう、この独特の香り。
和室の畳の香り、とにかくすべていい香りなのだ。
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唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます! (2018年2月25日 23時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 唐辛子の民さん» まさかそこまで言って頂けるとは…。とても嬉しいです!ありがとうございます。これからも見に来ますね。陰ながら応援してます! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 8d78b160ba (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» まっ、まさかっ!?あの愛音様!?いつも見させていただいてます!こんな方に見ていただけるなんて何たる光栄!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - まかろんさん» いやもう私もなんでこんなに伸びてるのかわかりませんよ。w多分私は神でも天才でも無いです。なんかこんなに褒めていただくと照れますね。w楽しんでいただき何よりです!更新がんばります!よろしくお願いします! (2018年2月25日 17時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 後れ馳せながら読ませていただきました。あなた様は天才ですか、神ですか、どっちですか。あ、秀才なんですかね。なんでこんな面白い小説書けるんですか、その文才分けてください。神は1人に二物も与えるんですね。楽しみにしてるので更新頑張って下さい! (2018年2月25日 15時) (レス) id: 8aa890658c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年2月24日 5時