三十五 ページ43
「もう秋かな...。」
天気は晴れだが、少し冷たい風が吹いている。
夏が終わるような空気が流れ、季節の変わり目を感じた。
廊下から見える庭の木は、つい三日前まで綺麗に生えていた葉も今では枯れかけている。
そして、道場のみんなはバタバタとし始めた。
...そう、今日はお稽古は休み。
皆で旅行に行く日だった。
少し離れた場所に、小さな商店街ができたという噂が武州では流れていた。
それも、商店街に並んでいるお店は大層な店ばかりだそうで。
近くに旅館もあるので、1泊2日で泊まることになった。
「Aさ〜ん、速くしないと遅れますよ?」
「待ってくださいよ〜!」
「Aさんはそのままでも十分可愛いですよ?」
「せっかく遠出するのにいつも通りじゃなんだか物足りないもの。」
総悟くんが隣にちょこんと座り、私が化粧をしているのを見ていた。
化粧道具をまるで不思議な生き物を見た様な目で見るもんだから、なんだか面白くなり、笑いが零れた。
「ふふっ、総悟くんは先に行ってて?」
「はい!」
数分後、着物の着付けも終わりようやく準備が整った。
部屋を出ると準備が整ったみんなが玄関に居て、どうやら待たせてしまった様だった。
「ごめんなさい、お待たせしました。」
「お、おう...なんか綺麗だな、Aちゃん」
近藤さんとのベタなやりとりを済ませると、土方君の元へ寄った。済ませると、とは言っているけど決して嫌な訳では無い。むしろ嬉しい。
「...」
土方君は無言で私を見つめていた。
普段はあまり着ない着物だから、あんまり似合ってなかったりするのかな...?
「似合ってないかな...?」
そう聞くと土方君はハッと我に返ったような表情をし、口を開いた。
「ち、ちげぇ。その、いつもと違ェから驚いただけだ。」
「そ、そっか...」
求めている言葉がなかなか彼から出なくて少し寂しい。
綺麗だとか。
可愛い、とか。
そんなの、贅沢過ぎるよね...?
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唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» ありがとうございます! (2018年2月25日 23時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
愛音(プロフ) - 唐辛子の民さん» まさかそこまで言って頂けるとは…。とても嬉しいです!ありがとうございます。これからも見に来ますね。陰ながら応援してます! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 8d78b160ba (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - 愛音さん» まっ、まさかっ!?あの愛音様!?いつも見させていただいてます!こんな方に見ていただけるなんて何たる光栄!ありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2018年2月25日 22時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
唐辛子の民(プロフ) - まかろんさん» いやもう私もなんでこんなに伸びてるのかわかりませんよ。w多分私は神でも天才でも無いです。なんかこんなに褒めていただくと照れますね。w楽しんでいただき何よりです!更新がんばります!よろしくお願いします! (2018年2月25日 17時) (レス) id: 7066b21a8f (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - 後れ馳せながら読ませていただきました。あなた様は天才ですか、神ですか、どっちですか。あ、秀才なんですかね。なんでこんな面白い小説書けるんですか、その文才分けてください。神は1人に二物も与えるんですね。楽しみにしてるので更新頑張って下さい! (2018年2月25日 15時) (レス) id: 8aa890658c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唐辛子の民 | 作成日時:2018年2月24日 5時