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204話 ページ8

Aside

光に包まれて来たのは相も変わらず無機質な空間

ただただ“無”で、物寂しい


それは時に私にも近しいものであるけれど
……どうも、気に障る

まぁ、別に良いけどね




目を向けると、黄色い結晶が浮かんでいた

くすんで、輝きを失った金色は
…まるで、砂嵐で遮られた陽光のようだ





『さて、お前の記憶を見せて貰おう』





ソッと結晶に触れると

パリンッと割れて散らばり


瞬間、景色が変わった



…あの瞬間、砂嵐が舞った気がするのは

きっと気のせいじゃない





これは……王宮か






“生まれたときからずっと”



“俺の頭の上には”



“どけられない岩が置かれていた”





空間に、頭の中に直接響く獅子の子の声

その声は、無機質にも………――諦めたようにも聞こえた



……あぁ、そうだね

外に出たくても出られない、出口を塞ぐ大きな岩……
“私達”から自由を奪う狭苦しい檻…

邪魔で邪魔で仕方がない


……けれど、それはかたくなとして動かない



誰にも見向きもされず

声を、叫びを聞いてもらえず

奥へ奥へと進む……閉じ籠る道しかない、孤独な空間は


……なんとももどかしく、憎たらしく、……――苦しくて、悔しいよな


そう、昔を思い出していると



召し使いの格好をした獣人が見えた





………――あぁ、嫌いだ







*はぁ…第一王子のファレナ様はあんなに朗らかでいらっしゃるのに…

何故弟であるレオナ様はあんなに気難しくしてらっしゃるのか








五月蝿い、あの子にそうさせたのはお前らだろうが


何も見ていない癖に、何も聞いていない癖に…

お前たちが、何の罪もない幼子を殺したんだよ







*しかも、全てを砂に変えてしまう魔法なんて恐ろしい……



*二人ともやめないか!誰かに聞かれてたらどうする







何をいう、素敵な魔法じゃないか

そもそも魔法というもの自体、素晴らしく、恐ろしいものだろう


私は単純に、すごい魔法だと思うがね



まぁ、アイツらには分からないだろうな

表面だけ見て分かったような気になる奴なんか、どうでもいい
ただただ気に入らない




“誰かに聞かれてたら”、って言ったか?


……聞こえてる

全部全部、あの子の心を抉っているんだよ


子供になんて事を聞かせている


毎日毎日飽きもせずに比較と批判ばかり

比較は分かりやすいくらい強い呪いだ
比較は人の、強すぎる業



上っ面の傍観者共め…

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どん - 続きが気になる (2021年4月13日 20時) (レス) id: 2a665cb182 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 最新待ってます! お願いします!【土下座】 (2021年4月12日 12時) (レス) id: dd065062e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 続きありがとうございます! 最新がんばってください! お願いします!【土下座】 (2021年4月8日 7時) (レス) id: dd065062e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - 続きが楽しみです! 最新してくださるのを待ってます! 最新お願いします!【土下座】 (2021年4月2日 10時) (レス) id: dd065062e2 (このIDを非表示/違反報告)
ゼロ - こっちの小説も好きなのでうれしいです! 最新がんばってください! 応援してます! (2021年3月21日 9時) (レス) id: dd065062e2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:零月 | 作者ホームページ:http   
作成日時:2020年11月29日 17時

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