兄弟の絆。 (ページ6)

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side裕太

医「もう大丈夫ですよ」

その言葉に、どれほど安心したか。

何度目にしても、慣れることなんてない。

涼太の痙攣。

激しい痙攣が起こるたび、涼太が消えてしまうんじゃないかって、言いようのない不安に埋め尽くされる。

亜「良かった、」

メ「ん、ほんとに」

そんな俺の隣で、同じように胸を撫で下ろした2人。

裕「ありがとう、ほんまに、」

涼太のために、俺らのために。

何かをしてくれる人なんかおらんかった。

初めてやったんや。

亜「別にいいんだって」

メ「俺は助けるために施設に2人を呼んだんだから」

涼「すぅ…すぅ…」

裕「もう大丈夫やで。よう頑張ったなぁ」

大きすぎるほどの真っ白な広いベッドで眠る、小さな弟。

さっきまでのような苦しそうな呼吸や忙しない痙攣は治まり、規則正しい寝息を響かせている。

亜「あの、さ。メンディーくん、裕太くん」

裕「ん？」

メ「どうしたの？」

突然、真面目な声色で。

俺らの方を見て、口を開いた亜嵐くんは。

亜「もし涼太と裕太くんが良ければって感じなんだけど、涼太のこと、病気のこと、教えてほしい」

助けたい。

涼太に何かあった時、自分も力になりたい。

そう言ってくれた亜嵐くん。

亜「裕太くんには言ったことなかったんだけどさ。俺、医者になりたいんだ」

初めて聞いた、亜嵐くんの将来の夢。

亜「もともと夢だったんだけど、涼太と出会ってさ、今まで以上に叶えたいって思うようになった。俺が涼太のこと、助けたい。だから涼太のこと、知りたい」

別に、亜嵐くんに涼太の障害のこと隠してたわけやない。

ただ、なんとなく言うのが怖かった。

また、言ってしまえば涼太から離れるんちゃうかって思って。

亜嵐くんがそんな子やないことくらい、今まで一緒に暮らしててわかってる。

裕「亜嵐くんの夢、応援してる。凄いな、医者とか」

言いたくないわけじゃないのに、何となく触れられなくて。

メ「裕太、良いんじゃない？亜嵐なら大丈夫だと思う。ちゃんと受け止められると思うよ」

裕「わかってる、わかっとるんやけど、」

メ「ん、裕太の気持ちもわかるよ。でもさ、今までの亜嵐のこと思い出してみな？涼太のこと話しても、亜嵐は涼太のこと嫌ったり、態度変えたりなんてしないと思う」

全てを知っているメンさんの一言に、俺は亜嵐くんに全部話すって決めた。