兄弟の絆。 (ページ5)

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#5 ※ ページ5

side裕太

亜「ごめん、本当に…涼太に嫌な思いさせちゃったし、」

裕「ええんやで、大丈夫。ありがとうな、連れて行ったってくれて」

学校から帰ると、暗い顔をした亜嵐くんが俺を待ってた。

公園で涼太に嫌な思いさせてしもたって、何回も俺に謝るけど。

俺はむしろ、感謝してる。

涼太が少しの間だけ通ってた幼稚園の先生すら。

涼太のことを気持ち悪いと言って、散歩に連れて行かずに放置したり、園に来るなと言ったりした。

それでも、亜嵐くんは。

そんなこと一切言わず、涼太のために公園へ連れ出してくれた。

裕「大丈夫やで、たいてい涼太は寝たら忘れるし。それに涼太、公園めっちゃ好きやねん。やけど俺は全然連れて行ってやれへんから、亜嵐くんにはほんま感謝してる」

それが、本音。

亜嵐くんは顔を赤くして、小さく頷いていた。

涼「あっ………っ、っ、っ、……ぅ、」

裕「涼太っ！？」

みんなが寝静まって、施設の全部の電気も消えた頃。

涼太の声にならない声が聞こえた気がして目を覚ますと。

涼「……っ、っ、っ、ぅ……っ、」

目は上にいき、完全に白目を剥いた状態で。

全身をビクビクと痙攣させる涼太。

涼「……っ、げっ…けほっ……っ…けぷっ…」

裕「涼太！しっかりしろ、」

むせると同時に、泡が溢れる。

そしてそのまま痙攣が続く。

裕「…くそっ…メンさん、起きてっ…」

震える手で電話をかけてみても、メンさんが応答することはなく。

裕「涼太っ…もうちょっと頑張ろ、」

痙攣しながら泡を吹く涼太に声をかけるしかできなくて。

定期的に口の中に手を突っ込んでは、泡を掻き出し窒息を防ぐ。

でもわかってる、それがその場しのぎにしかならんことくらい。

ガチャッ…

亜「裕太くん？…涼太っ！」

裕「亜嵐くん！？メンさん起こしてきて！」

ふと、突然開いた部屋のドア。

顔を出したのは誰か確認できんかったけど、声からして亜嵐くんやった。

すぐにまた、パタンとドアの閉まる音がして。

ガチャンッ！

メ「裕太！涼太！」

またすぐ、激しくドアが開いた。

メ「救急車お願いします！…はい、痙攣していて、泡も……はい、」

メンさんが隣で救急車を呼んでくれる。

亜「涼太、大丈夫だよ！しっかりして！」

亜嵐くんは必死に、涼太の名前を呼んでくれた。