兄弟の絆。 (ページ4)

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side亜嵐

亜「ただいま！」

帰ったらすぐ、手洗い場で手を綺麗に洗う。

施設にはいろんな子がいる。

涼太のように、身体の弱い子だっている。

だから帰ったらすぐに石鹸で手洗いうがいするのが、うちの施設の数少ないルール。

亜「メンディーくん、涼太の体調どう？大丈夫そうなら、公園行きたいんだけど！」

メ「ん、体調は大丈夫だよ。あとは涼太に聞いてあげて？」

亜「はーい！」

涼太は体調が悪くても、上手く伝えられないから。

だから先にメンディーくんを通して、今日の体調確認。

あとは涼太の気分次第。

亜「りょーた、ただいま！」

涼「ん…ぁ、」

亜「んふ、公園行こ？」

俺を見つけると、ニコッと笑ってくれるようになった涼太。

それが嬉しくて、可愛くて。

涼「ん、ん！」

亜「あれ？ "ブランコ" だね！乗るよー！」

ブランコのところへ行って、俺をじっと見つめながら乗りたいアピール。

だから俺は涼太を抱っこして、ブランコに乗せてあげる。

そのまま優しく、後ろから揺らしてあげる。

亜「気持ちいいですかー？」

涼「んふ、」

亜「そっかそっか」

覗き込んでみるとニコニコ笑う涼太。

施設に来たばかりの頃、涼太はほとんど歩けなかった。

それでも涼太は一生懸命努力して、ゆっくりなら普通に歩けるように。

"ほら、あの子だよ"

"ダメよ、近づいちゃ"

"まぁ、この公園でなんて遊ばないでほしいわ"

"見ちゃダメ！"

なんて心ない言葉が耳に飛び込んできて、ふと我に返る。

涼太の顔から視線をあげ、パッと前を見ると。

ほぼ同時に、パッと数人の親子連れに視線を逸らされる。

そしてまた、すぐにヒソヒソとした声が聞こえてくる。

涼「んっ…」

亜「あ、涼太！」

思わず目の前から視線を逸らせずにいたけれど、涼太の小さな声とともにブランコが止まる。

慌てて涼太の前に回り込んで座って顔を覗き込む。

亜「大丈夫、大丈夫だよ」

周りから見られたストレスだろう。

涼太の顔は少し麻痺が起きていて、引き攣っていた。

慌てて抱き上げ、優しく背中をトントンしながら話しかける。

亜「ごめんな、嫌だったね。もう大丈夫。帰ろっか？」

本当はもう少し、遊びたかったけれど。

色々あって涼太もお疲れモードだし、今日のところは帰ることにした。

涼太に申し訳ないことしちゃったな。