兄弟の絆。 (ページ25)

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#25 ※ ページ25

side裕太

裕「…よっ、と、」

同じベッドの中で眠る涼太が起きないように。

ゆっくり布団から出て、昨日の夜、お湯に浸けておいたシーツを確認しにお風呂場へ向かった。

裕「あ、」

メ「おはよ、裕太。早いね」

すでに起きていたメンさんと鉢合わせ。

お風呂場から出てきたメンさんの手には、俺が昨日浸けておいたシーツ。

裕「メンさん、それ、」

メ「これ、裕太が浸けておいてくれたの？」

裕「ん、」

メ「ありがとう。でも気にしなくていいよ、みんな汚れた時は汚れたって報告だけする。後は俺の仕事だからね」

そう言って汚れてしまったシーツを、嫌な顔一つせず、少し肌寒いベランダに干しに行ってくれた。

裕「あ、ありがとう、ございます…」

いつも、怒られてばかりだった。

正確には、涼太が怒られてばかりだった。

体調が悪くて戻すことでシーツを汚してしまう。

それでも母親は、体調が悪い涼太を怒鳴りつけた。

そして、自分で洗わせた。

何とかして守ってあげたくて、必死に母親に気付かれんようにこっそり汚れたシーツを洗うことが、俺の使命のように思ってた。

誰にもバレたらあかん。

また、涼太が洗わされる、怒られる。

そう思って、汚れたシーツを隠して、こっそり気付かれる前に綺麗にすることが癖づいていたことに初めて気づいた。

メ「いいよ、大丈夫。涼太、体調悪いの？」

裕「はい…あ、！」

メ「行ってあげな。あ、また服とかも汚れちゃったら教えて？みんなにバレたくないなら、こっそり袋に入れて持ってきてくれたらいいから」

そう言ってくれたメンさんの言葉に甘えて、俺は涼太の眠る部屋に戻る。

裕「涼太……おっと、ごめんな、」

涼「…っﾋｯｸ……めんっ、なさっ…(泣)」

裕「泣かんでええよ、おらんくてごめんな」

部屋に戻ると、涼太は体を起こしていて。

でも単に起きてたんじゃない。

泣いていて、それでもって。

裕「お着替えしよな」

起きてすぐに、波が来てしまったのだろう。

俺がいない間に戻してしまったらしく、服や手が汚れてしまっていた。

裕「メンさん、呼んでええかな、」

独り言のように呟いては、さっきのメンさんの言葉を思い出す。

そしてLINEで、少し時間があれば部屋に来て欲しいと送った。

メ「どした？あ、そっかそっか。びっくりしたね」

すぐに来てくれたメンさんは、何も聞かずにいてくれた。