兄弟の絆。 (ページ21)

今日:7 hit、昨日:8 hit、合計:22,510 hit

#21 / 新しいお友達ページ21

side裕太

ドンッ…

裕「わ、ごめん！大丈夫！？」

涼太を抱いてリビングに向かっていると、足元に小さな子どもがぶつかる感覚。

慌てて抱いていた涼太をおろし、衝撃で尻もちをついてしまった男の子に手を伸ばした。

裕「ごめんなぁ、大丈夫か？」

隼「だいじょーぶ！」

裕「強いなぁ、泣かんねんな」

小さくて、言葉も幼くて。

そういえば、涼太より年下の子がいるって聞いていたけど、この子だろうか。

亜「あーっ！隼！また走ってたんだろ！」

聞き慣れた声がして見上げると、亜嵐くんがパタパタと駆け寄ってきた。

亜「裕太くん、ごめんね！涼太も大丈夫？」

裕「大丈夫やで、俺らは。ただこの子が尻もちついてしもて、」

亜「いや、隼が走ってたんじゃない？隼、走っちゃダメだっていつも言ってるよね？」

"隼" と呼ばれた男の子は、亜嵐くんに走ってたことをしっかり怒られる。

裕「君、隼くんて言うの？」

お説教が一通り終わると、まだそこにいる隼くんに話しかけた。

隼「そう！僕、はやと！お兄ちゃんは？」

裕「俺は裕太。こっちは涼太って言うねん。よろしくな？」

隼「お兄ちゃんたち、ここ住んでるの？」

裕「そう、新しくここで暮らすことになってん」

隼くんは凄くよく喋る。

初対面の俺にでも、平気で話しかけてくる。

小さい割に、言葉もしっかり話すからまたびっくりした。

亜「隼は涼太の1個下。4歳だよ」

裕「そうなんや、めっちゃしっかりしとるな」

亜「ここには隼と近い年齢の子がいなかったからかも」

歳上だらけの中で育ったからだという。

涼太もここで過ごせば、少しずつでも何か変わるんかな。

隼「あそぼ？」

裕「ん？」

隼「あーそーぼー？」

隼くんが急に俺の前から移動して、そう言った。

俺の後ろに回り込んでそう言うから、どうしたのかなと振り向くと。

隼「あそぶの、いや？」

涼「んんっ…」

抱っこからおろしてそのまま俺の後ろにいた涼太に、そう言っていた。

隼「ねぇ、ねぇ、」

涼「あっ…」

亜「隼、引っ張っちゃだめ」

涼太はグイグイの隼くんに慣れず、俺の服をギュッと握って背中にもたれてくる。

裕「涼太、遊ぼって言ってくれてんで？」

そう言ってみてもなかなか勇気は出ないらしい。

亜「ほら。涼太くん、遊ぼ？って。僕、隼だよーって」

亜嵐くんはしゃがみ込んで、隼くんに話しかけた。