兄弟の絆。 (ページ3)

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side裕太

涼「んっ……んぅ、」

裕「どしたん？もう大丈夫やで」

昨日、久しぶりに熱を出した。

そして高校生になって初めて、学校を休んだ。

涼太は身体が弱いから、俺が熱を出してる時は会えない。

昨日は一日中会えなくて、ようやく会えたと思えば俺は学校。

それが寂しくなったのだろうか。

裕「帰ってきたらいっぱい遊ぼな？」

俺に向かって手を伸ばす涼太を抱っこしながらそう言った。

幼稚園に行けない涼太。

それでも、施設の人は優しかった。

"涼太は見といてあげるから、裕太は行っておいで"

施設に来たばかりの頃は、俺と離れる時は大号泣だった涼太。

そんな涼太を嫌な顔ひとつせず、受け止めて抱っこしてくれた。

ようやく少しずつ慣れて、今ではちゃんと俺が帰ってくることを理解して静かに見送ってくれる。

メ「はい、いってらっしゃいって。涼太、お兄ちゃんにバイバイしよ？」

裕「涼太、行ってくるな。メンさんも、行ってきます」

メ「ん、行ってらっしゃい！」

施設長のメンディーさん。

俺らを受け入れて、身寄りのない俺らを施設に入れてくれた恩人。

高校生と障害のある5歳。

俺にはまだまだお金がかかる。

涼太には、お金も時間も手間もかかる。

それでも。

感謝しかない。

"一緒においで？"

"今日からここが、君たち2人の家"

そう言って、公園で一晩過ごそうとしては警察に補導されそうになった俺らを連れ帰ってくれた。

亜「あ、裕太くん待って！途中まで一緒に行こって言ったのに！」

裕「あぁ、ごめんな。行こか」

１つ年下で、中学3年生の亜嵐くん。

亜嵐くんも、俺らと同じ施設におる。

初めて施設に行った日、1番初めに声掛けてくれたのが亜嵐くんやった。

涼太にも話しかけてくれたけど、涼太は喋れんくて。

涼太の障害のこと、怖かったけど言うしかなくて話した。

初めてやったんや。

メンディーくんのように俺らを受け入れてくれたんも。

亜嵐くんのように、障害を知ってもなお、涼太に話しかけていっぱい可愛がって抱っこしてくれたんも。

　

亜「裕太くん、今日遅いんだっけ？」

裕「そうやねん。委員会あってさ」

亜「んじゃ、帰ったら涼太のこと、公園連れて行ってもいい？」

裕「ん、ありがとうな」

亜「いーえ！涼太と遊ぶの、楽しいから！」

こうやって言ってくれたのも、初めてやったんや。