兄弟の絆。 (ページ13)

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#13 ページ13

side亜嵐

メ「涼太のこと、話すね」

そう切り出したメンディーくんに、みんなが注目する。

メ「もしかしたら少し、気になってた子もいるかもだけど…涼太には、障害がある」

メンディーくんは少し口籠もって、でもはっきりと言い切った。

メ「でも…ちゃんと聞いて」

少しざわつき始めたのを落ち着かせながら、話を続ける。

メ「さっきは裕太にご飯食べさせてもらってた。でも、別に何もかもできないわけじゃない。他の5歳に比べたら、できないことも多いかもしれない。でも、それは涼太のペースで頑張るから。後は温かい目で見てほしい」

この施設には、他に障害のある子どもはいない。

施設にいる子のほとんどが、障害のある子どもと触れ合うのは初めてのことだった。

メ「俺から頼みたいのはそれ。ただ、見守ってあげて？どうしてもの時は手を貸したり、声かけたり。そうやって一緒に暮らして行こう？涼太は5歳。可愛い弟でしょ？」

そう言いながらみんなを見回した。

…「あの弟…涼太だっけ？障害とか無理なんだけど(笑)」

…「リアルな障害者とか初めて見た(笑)」

…「ちょっと気持ち悪いよな(笑)」

ちょっとでも油断すれば、手を出してしまいそうな衝動。

何度も深呼吸して、それを聞かないフリ。

裕太くんと涼太がリビングを出て部屋に戻ると、そんな会話が聞こえてくる。

ここにいるみんなは、痛みを知っているはずなのに。

それでもイライラが収まることはなくて、拳をギュッと握りしめるばかり。

メ「亜嵐。これは一緒に過ごして、ゆっくりわかるしかないんだよ。もしあの二人に直接何か言うようなことがあれば、俺からちゃんと言う。だから亜嵐はいつも通り、あの二人と接してくれたらそれで十分」

亜「うん」

まるで心を読んだかのような言葉に、少し安心した。

メ「初めに障害があるとか言いすぎちゃうとさ、変な先入観持っちゃうかもしれないじゃん？それだけは避けたくてさ」

亜「でも中途半端に知って、想像で好き勝手に言って…こんなのただの陰口じゃん」

メ「うん。亜嵐がそれをわかってくれてるならそれで十分。障害の存在を知って、それでもなお亜嵐は何も変わることなく涼太に関わってくれた。それって誰でもできることじゃないんだよ？障害っていう未知のものに対して、どうすればいいのかわからないんだよ」

そう言っては、洗濯機のある方へと消えていった。