兄弟の絆。 (ページ11)

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side裕太

亜「あ、おはよう！」

裕「亜嵐くん。おはよう」

亜「涼太もおはよー！」

部屋から出たところで、亜嵐くんと会う。

亜嵐くんは俺に挨拶した後、俺の腕の中にいる涼太の頭を撫でながらもう一度挨拶してくれた。

裕「涼太もおはよー！ってな」

俺はそう言いながら涼太の代わりにもう一度挨拶。

　

亜「おはよー！」

メ「おはよう、亜嵐。裕太と涼太もおはよ」

亜嵐くんが大声でリビングに入っていくと、メンさんの挨拶してくれる声。

他の施設の子達も、ちらほらおはようと言っている。

たぶん亜嵐くんに対してやけど。

裕「メンさん。おはようございます」

メ「ん、おはよう。今日からみんなでご飯食べようと思ってるんだけど、大丈夫かな？」

裕「たぶん、」

経験がない以上、大丈夫ともそうじゃないとも言えない。

俺は大丈夫だけど、涼太はどうなるか。

裕「あの、俺が涼太に食べさせてたら…みんな変やと思いますかね？」

怖かったけど、聞くしかない。

施設にいる涼太と同じくらいの歳の子は、すでにスプーンを持って準備万端。

一方の涼太はまだ俺に抱かれたまんまだし、食べる時も俺がスプーンで食べさせてあげることになる。

メ「大丈夫だよ。気にしなくていい。もし何か言う子がいれば、それは俺から説明するから」

頼もしい言葉に後押しされ、そのまま席に着くよう促される。

亜「あ、裕太くんと涼太ここね！涼太が俺と裕太くんの間になるように座って？」

いつの間にか席に着いていた亜嵐くんに手招きされ、座ってご飯を食べ始めた。

裕「ほら、涼太」

そうやっていつも通り、涼太に食べさせながら、自分も食べる。

だけどやっぱり。

…「5歳で食べさせてもらってるって、」

…「ちょっとめんどくさそう、」

…「変だよね、あの子」

ヒソヒソ言うてるつもりやけど聞こえてしまってるのか、わざと聞こえるように言ってんのか。

わかっとるよ、5歳でスプーンすら使えへんのが少数派なことくらい。

でも涼太にスプーンは難しいんや。

そもそも、噛んで飲み込むことすら、涼太にとってみれば難しいことで。

昔、それが出来んかった時。

入院させられた涼太は、鼻からチューブつけられて。

そこから栄養を補給してたこともあった。

メ「ちょっといい？」

そんなヒソヒソ声の中に、はっきり聞こえたメンさんの声。

また助けてもらうんやなと思いつつ、ここは任せて俺はご飯を食べた。