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side龍友
息をするのも忘れる、という感覚を初めて知った気がする。
龍「涼太っ!しっかりしろっ!」
涼「ハァッハァッハァッ…!ンッ…ック、ハァハァ…」
龍「大丈夫やから、ゆっくり、落ち着いて」
まるで、自分に言い聞かせるように。
心臓発作だろうか。
胸を押さえて荒い呼吸で苦しむ涼太に声をかける。
龍「大丈夫、大丈夫やからっ!」
涼「ンッ…ハァハァハァハァハァ…ヒュッ!…」
救急車、呼ばないと。
早く、薬を飲ませないと。
なんとか、落ち着かせてあげないと。
やらなければいけないことは次々と浮かぶのに、体は動いてくれなくて。
裕「涼太くんっ…!救急車呼ぶわっ!」
そんな裕太くんの声は、どこか他人事のように思えて。
龍「涼太、涼太っ…くそっ、しっかりしろって…」
涼「ハァハァハァ…ヒュッ……」
さっきまでの荒々しい呼吸とは違い、弱々しく上下する涼太の胸。
意識のない涼太の手に握り、柄にもない涙を零しながら名前を呼ぶことしかできなくて。
あまりに弱々しい呼吸が怖くて、救急車が来るまで頻繁に、涼太の胸に耳を当てて鼓動を確認していた。
まだ、大丈夫。
まだ、動いている。
龍「涼太っ…」
慣れない。
慣れるはずがないんだ。
あの日、初めて涼太の発作を見た日から。
こうして発作を見るたびに、涼太が消えてしまいそうで。
ただ、名前を呼ぶだけ。
ただ、救急車が来るのを待つだけ。
それは、とてつもなく長い時間に感じた。
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りさ - 新作楽しみにしてます(*^-^*) (2021年11月15日 3時) (レス) @page50 id: 96e86ff224 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめか(プロフ) - 下書きの公開楽しみです😊✨ (2021年11月13日 18時) (レス) id: e790979a11 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄 - お父さんがめんさん、お兄ちゃんが亜嵐か、裕太かがいいです (2021年11月2日 12時) (レス) @page50 id: 9560844fb8 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太くんがいいです(*^-^*)新作楽しみにしてます(*^-^*) (2021年10月31日 3時) (レス) @page50 id: e43e150c6b (このIDを非表示/違反報告)
さらん - あらんくんがいいです (2021年10月29日 11時) (レス) @page48 id: d9f6645eb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:jdhchebbdn | 作成日時:2021年8月7日 21時