検索窓
今日:21 hit、昨日:40 hit、合計:51,975 hit

#3 ページ3

side亜嵐

亜「あれ、涼太は来ないの?」

龍「あー、うん。見てるんでってさ」

亜「えー、審判してもらおうと思ったのに!」



少し離れたところで座ってこちらを見ている涼太。

俺が見ていることに気づいて、ニコッと笑っている。




亜「涼太!審判やらない?」

隼「おーい!涼太くーんっ!」

涼「暑いんで、ここで見てます!」


俺らの呼びかけにそう答えた涼太は、頑張れと手を振ってくれた。






隼「じゃあ始めますよー!」

亜「ちょっと先に始めといて!途中から入るわ!」

玲「え、ちょ!」


3対3だったところ申し訳ないけれど、少し抜けて涼太のもとへ。

きょとんとした涼太の隣に腰を下ろし、ビーチバレーの様子を見た。





涼「亜嵐くん?どうしたんすか?」

亜「ん?別に?あそこ熱いんだよ、砂が。足の裏、火傷しそう(笑)」

涼「それだけじゃないでしょ」



真剣な声色でそう言われて隣を見ると、涼太と目が合った。





亜「ほんと、こういうことには鋭いねぇ」


涼太の言う通り、砂の熱さで帰ってきたわけじゃない。

なんとなく、涼太のそばにいたかった。

少し離れて俺らを見つめる瞳が、どこか切なくて。





亜「体調どう?朝ちゃんと、薬飲んだ?」


たぶん涼太も言われることに気付いてそうだし、ストレートに問いかけた。


涼「全然大丈夫ですよ。子どもじゃないんだから、薬もちゃんと飲んでます」

亜「ん、そっか」


少し笑いながら答えているけれど、やっぱりどこか儚くて。

最近、無邪気な涼太の笑顔を見ていないな、なんて思った。



亜「俺さ、ここに来て良かった。7人で自由に暮らせるなんて…東京にいた頃じゃ考えられなかった」


素直な想いだった。

でも涼太は少し黙り込んで、俺を見ずに口を開く。




涼「後悔…してませんか?」

亜「してないよ、何も」

涼「本当に?だって…何もかも、全部を手放したんですよ?」



地位、名誉、ファン、歓声、ステージ、人気、知名度。

確かに、手放したものはある。



亜「もちろん手放したものもある。でも1番大事なものは手放してないじゃん」

涼「え?」

亜「仲間。家族みたいで、でこぼこな7人兄弟。これだけは手放してない」


何年、何十年だって。


これだけは胸を張って言える。









涼「そう…ですね」



それ以上、涼太は何も言わなかった。

2人でただ静かに、にぎやかなビーチバレーを見ていた。

#4→←#2



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (115 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
197人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りさ - 新作楽しみにしてます(*^-^*) (2021年11月15日 3時) (レス) @page50 id: 96e86ff224 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめか(プロフ) - 下書きの公開楽しみです😊✨ (2021年11月13日 18時) (レス) id: e790979a11 (このIDを非表示/違反報告)
葡萄 - お父さんがめんさん、お兄ちゃんが亜嵐か、裕太かがいいです (2021年11月2日 12時) (レス) @page50 id: 9560844fb8 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 涼太くんがいいです(*^-^*)新作楽しみにしてます(*^-^*) (2021年10月31日 3時) (レス) @page50 id: e43e150c6b (このIDを非表示/違反報告)
さらん - あらんくんがいいです (2021年10月29日 11時) (レス) @page48 id: d9f6645eb5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:jdhchebbdn | 作成日時:2021年8月7日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。